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大阪桐蔭ー智弁学園いきなり激突!  波乱のセンバツ組み合わせ抽選会

森本栄浩毎日放送アナウンサー
センバツの組み合わせが決定。地区大会決勝2カード再戦など波乱の結果に(筆者撮影)

 センバツの抽選会が終わった。「センバツLIVE」でご覧になった方も多かったと思う。危惧していた同地区の対戦が3カードあり、それも決勝カードの再戦が2試合など、すべてが対戦経験のある相手との試合で、波乱の展開だった。

最後に残った大阪桐蔭と東海大相模

 まず、抽選会をおさらいする。配信前に終わっていた予備抽選でくじを引く順番は決まっている。同県2校出場の場合のみ、決勝まで当たらないよう配慮するので、宮城、兵庫、奈良が先に引き、残りの26校はフリー抽選となった。その抽選の最後に、大阪桐蔭と東海大相模(神奈川)が残っていたのである。

最後までドキドキの抽選会

 そして残り3校となった段階で、2日目の第3試合の2校と4日目の智弁学園(奈良)の相手が空白になっていた。引くのは東海大甲府(山梨)の三浦諒太主将。ここで智弁の隣に入ると、昨夏の交流試合の再現となる大阪桐蔭と東海大相模の対戦だったが、甲府は2日目に入った。次が大阪桐蔭の池田陵真主将で、智弁との対戦を引いた。近畿の決勝再戦で、秋は智弁が完勝している。この段階で、自動的に相模と甲府の関東大会準々決勝の再戦も決まった。おそらく、配信をご覧になっていた皆さんも、最後までドキドキされたことだろう。司会をしていても、残り3校になった段階で、ここまで緊迫感のある展開は予想していなかった

避けたかった同地区3試合はいずれも再戦

 最終盤で、昨秋の対戦の再現が一気に増えた。離島の快挙と言われた大崎(長崎)は、福岡大大濠との九州大会決勝(大崎の勝ち)の再戦に。そして最後に誕生した2カードと合わせ、同地区対戦となった3試合すべてが地区大会の再現で、実に皮肉な結果となった。これは、秋に勝っているチームがやりにくく、非常に気の毒である。特に初出場の大崎の関係者の心中はいかばかりかと察する。波乱の要素が多いトーナメントでは、同地区の対戦は少ないほどいい。過去に対戦経験があれば言うまでもないが、まず手の内がわかっていること。そして地区のレベルや戦い方を肌で感じているので、「格上」とされるチームが精神的に優位に立てることが大半だ。フラットな状態で戦う甲子園の1回戦で最も避けたいのは、こうした理由による。

ブロック別展望

 決まってしまったものは仕方ないので、試合順に展望を4ブロックに分けて簡単に記したい。2回戦では、上2カードと下2カードの勝者が当たる。

強豪ひしめく最激戦ゾーン

神戸国際大付(兵庫)-北海(北海道)

明徳義塾(高知)-仙台育英(宮城)

健大高崎(群馬)-下関国際(山口)

宮崎商(宮崎)-天理(奈良)

 強豪ひしめく最激戦ゾーンで、開幕戦からヒートアップしそうだ。北海の左腕・木村大成(3年)と神戸国際の右腕・阪上翔也(3年)の投げ合い必至で、2~3点の終盤勝負になるだろう。明徳と仙台育英も試合巧者同士で、経験値も互角。僅差の攻防が期待できる。下級生の多い下関国際は、健大の強打を封じて勢いに乗りたい。天理の達孝太(3年)に挑む宮崎商は、打線に粘りがある。

同地区再戦や21世紀枠同士

三島南(静岡)-鳥取城北(鳥取)

東海大相模(神奈川)-東海大甲府(山梨)

具志川商(沖縄)-八戸西(青森)

福岡大大濠(福岡)-大崎(長崎)

 21世紀枠が3校入った。鳥取城北に挑む三島南は、得意の継投で失点を少なくしたい。相模と甲府は関東準々決勝で当たって、甲府が2-1で逆転サヨナラ勝ちした。甲子園でも白熱の投手戦に期待したい。21世紀枠同士は、具志川商の新川(あらかわ)俊介(3年)と八戸西の福島蓮(3年)、ともに140キロを超える速球を持つ。大濠と大崎の九州決勝の再戦は実力伯仲で、直接対決で投げなかった両エースの出来がポイントになる。

近畿の強豪が集中

明豊(大分)-東播磨(兵庫)

市和歌山(和歌山)-県岐阜商(岐阜)

智弁学園(奈良)-大阪桐蔭(大阪)

広島新庄(広島)-上田西(長野)

 近畿の強豪が集中するが、同士討ちもあり波乱含み。東播磨は相手のスキをつくのがうまいので、明豊投手陣は不用意な四球に気をつけたい。市和歌山の小園健太(3年)は今大会ナンバーワン右腕。試合巧者の県岐阜商がどう攻略するか。智弁と大阪桐蔭の再戦は優勝争いを左右する。智弁打線が大阪桐蔭の投手交代機につけ込めるか。新庄は投手陣が万全で、秋は練習試合も含め土つかず。上田西は機動力を使ってしつこく攻めたい。

初出場4校に優勝経験3校

東海大菅生(東京)-聖カタリナ学園(愛媛)

柴田(宮城)-京都国際(京都)

常総学院(茨城)-敦賀気比(福井)

中京大中京(愛知)-専大松戸(千葉)

 初出場4校に優勝経験のある3校という多彩な顔ぶれ。初陣の聖カタリナは先制して、総合力の高い菅生を脅かしたい。柴田と京都国際は春夏通じて初の甲子園で、ともに投手を軸に粘りがある。好勝負になるだろう。優勝経験校同士の常総と気比は、常総の投手陣を気比が粘り強く攻められるか。中京は、絶対的エース・畔柳亨丞(3年)を擁するが、最後の6日目登場となった。専大松戸は、しっかり守って僅差の展開に持ち込みたい。

球数制限にどう対応するか

 俯瞰すると、最初のブロックと3番目のブロックに強豪が多い。優勝争いの中心になりそうな近畿勢は、トップ3が同じブロックに入っている。また、登場の遅いスーパーエースのいるチームは、初戦を突破しても2戦目以降の投手起用がポイントになりそうで、球数制限が本格的に適用される最初の甲子園で、各監督はどう対応するか、頭を悩ませそうだ。

宣誓は震災から10年の仙台育英に

 選手宣誓は、初日に登場する6校の中から抽選で、仙台育英の島貫丞主将(3年)に決まった。東日本大震災から10年の節目でもあり、ふさわしいチームに大役が回ってきた。東北勢初の甲子園優勝の期待もかかる。思いを込めた素晴らしい宣誓になるだろう。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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