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トップクラスの強豪とドラフト候補が集結!  近畿大会出場の16校決まる

森本栄浩毎日放送アナウンサー
近畿大会の出場校が決まった。タレントぞろいの大阪桐蔭が優勝候補筆頭だ(筆者撮影)

 近畿大会(10/17~わかさスタジアム京都)に出場する16校が決まった。大阪の3位決定戦で昨夏全国制覇の履正社が公立の山田に9回、逆転負けを喫する大きな波乱はあったが、おおむね順当な顔ぶれとなった。今回は京都開催で、滋賀と奈良が2校。そのほかの府県は3校が代表として出場し、来春のセンバツをめざす。全国トップクラスの強豪と有力選手が集結する大会で、興味は尽きない。各府県の代表を情勢とともに記したい。

近江の県内連勝ついに止まる~滋賀

1位=滋賀学園

2位=近江

 近江の県内公式戦連勝が「34」で止まった。止めたのはやはり滋賀学園だった。決勝は、継投策に出た近江に対し、滋賀学園の右腕・阿字悠真(2年)が力投。9回に追いつかれたが、その裏に近江期待のルーキー・山田陽翔(1年)を攻めて5-4でサヨナラ勝ちした。夏の独自大会で完敗していた滋賀学園の山口達也監督(49)は、「何とか近江の独走を止めたい」と話していたが、勢いをつけて近畿大会に臨む。近江は打線が低調で、前週から苦戦が続いていた。近畿では、山田らの投手力で雪辱を狙う。秋の4強は私学で占められ、甲子園未経験の綾羽は近江に一歩及ばず。古豪の比叡山は、阿字をよく攻めたが、前半の大量失点が響いた。

始動遅れ感じさせない平安~京都

1位=龍谷大平安

2位=乙訓

3位=京都国際

 「2年生は全然、練習できていないんで、秋は無理やと思います」。京都独自大会ブロック優勝後にそう話していた龍谷大平安の原田英彦監督(60)。その言葉とは裏腹に、きっちり仕上げてきた。決勝の乙訓戦では、序盤からじわじわ引き離す理想的な展開で6-2と完勝。軸になる投手は決まっておらず、とりあえずは継投策か。2位の乙訓は、前日の東山戦で力投したエース・北見隆侑(2年)が平安戦では救援に回り懸命に挽回を狙ったが、平安の好守に阻まれた。3位は京都国際で、東山にサヨナラ勝ちし、2年ぶりの近畿大会で初の甲子園を狙う。東山は、ディフェンスの強化が課題だ。

黄金世代彷彿とさせる大阪桐蔭~大阪

1位=大阪桐蔭

2位=東海大大阪仰星

3位=山田

 投打に圧倒的戦力の大阪桐蔭が、準決勝でライバルの履正社を破り、連戦となった東海大大阪仰星との決勝にも圧勝して、2年連続で秋の大阪王者となった。投手陣は、エース左腕・松浦慶斗(2年=タイトル写真)と関戸康介(2年)の両輪に加え、伸び盛りの下級生もいて万全。攻撃陣は、前チームから主力だった池田陵真(2年=主将)を4番に据え、長打力のある宮下隼輔(2年)、前田健伸(2年)で形成する中軸は、うまさとパワーを兼ね備える。全国的に見ても、トップクラスの戦力であることは間違いない。一昨年の「黄金世代」を彷彿とさせる。2位の仰星は、エースの高橋怜央(2年)と左のスラッガー・佐藤裕樹(2年)がいて、投打のバランスがいい。そして3位で、履正社を2-1で破る大金星を挙げた山田が、近畿大会初出場。浪速、上宮、大産大付などの甲子園経験校を破っていて、履正社を倒したのもうなづける。履正社が、秋、夏の公式戦で府下公立に敗れたのは、ちょっと記憶にない。

長田が70年ぶりの近畿大会に~兵庫

1位=神戸国際大付

2位=東播磨

3位=長田

 神戸国際大付が、エース・阪上翔也(2年)の好投と手堅い試合運びで頂点に立った。苦しい試合もあったが、毎年、安定した力を維持している。近畿では、力勝負を挑んでくる相手に苦戦する傾向があり、打撃戦は避けたい。2位の東播磨は、かつて加古川北を春夏の甲子園に導いたOBでもある福村順一監督(48)が就任後、着実に力をつけてきた。夏の独自大会もブロック優勝していて、初の近畿大会でも期待が持てそうだ。3位には進学校としても有名な長田が入った。明石商を破って勢いに乗り、3位決定戦では神戸村野工に延長13回タイブレーク勝ちした。エース・松田宰(1年)の粘りの投球が原動力で、4年前の21世紀枠選出後、さらに力をつけている。昭和25年以来、秋の近畿大会出場は70年ぶりとなる。

逸材揃う2強が2年連続センバツ狙う~奈良

1位=天理

2位=智弁学園

 昨秋、9回目の秋の近畿大会優勝を果たした天理が、ライバル・智弁学園を8-2で破って優勝した。近年はやや分が悪く、昨秋は大敗していたが、エース・達孝太(2年)の力投が目を引く。昨秋、大阪桐蔭を抑えてブレークし、夏の交流試合でも素晴らしい投球を見せた。順調に成長していて、このままなら来秋にはドラフト上位候補に挙がってくるだろう。智弁は、入学早々からマウンドに立つ左の西村王雅(2年)、右の小畠一心(2年)の二枚看板に、全国屈指の強打者・前川右京(2年)がいて、戦力では引けをとらない。今秋は、公立の伝統校・畝傍が健闘した。奈良は2強状態が長く続いているが、実力は両校とも前チームと遜色なく、2年連続のセンバツアベック出場も夢ではない。

市和歌山に好投手・小園~和歌山

1位=市和歌山

2位=和歌山東

3位=智弁和歌山

 市和歌山の最速152キロ本格派・小園健太(2年)が、智弁和歌山を準決勝で撃破。連戦となった和歌山東との決勝でも救援のマウンドに立って、三振の山を築き、優勝に大貢献した。184センチの恵まれた体で、右腕では天理の達と並んで、ドラフト上位候補に挙がってきそうだ。まずは、センバツで大舞台を経験したい。2位の和歌山東は近年、安定して上位に食い込んでいる。6年前の京都開催では、津森宥紀(ソフトバンク)を擁しながらも、北大津(滋賀)に敗れた。実力なら近畿でも上位の智弁和歌山は、1年から4番に座る徳丸天晴(2年)が、向陽との3位決定戦で2本塁打を放って面目を保った。各府県の1位校にとっては脅威になるだろう。

1位校同士は初戦で当たらず

 抽選は13日(火)に行われる。16校中、6校が公立である。1位校同士は初戦で当たらず、2位校は同府県の1位と逆のゾーンに入る。4校ある3位は、同じ府県代表と初戦で当たらないように振り分けられる。今回の1位校は、おおむね順当で、2校出場の滋賀と奈良は、1、2位の実力差がない。今回は予選が無観客で(近畿大会も無観客の予定)偵察ができないため情報量が少なく、対策が立てづらい。したがって、波乱の要素も少なくない。

大阪桐蔭を追う天理

 優勝候補の筆頭は大阪桐蔭で、天理がこれを追うが、本番まで2週間あり、チーム状態は大きく変わる。1位校にとって脅威となりそうな下位校は、何と言っても智弁和歌山。智弁学園も投打に経験値が高く、投手力のいい乙訓も侮れない。また、強豪との対戦になりそうだが、初出場の東播磨と山田、伝統校・長田の戦いにも注目したい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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