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近江・土田らが華麗なパフォーマンス!  プロ志望高校生合同練習会

森本栄浩毎日放送アナウンサー
高3のプロ志望選手を集めての合同練習会。選手たちは懸命にプレーした(筆者撮影)

 新型コロナ禍を受けて、「プロ志望高校生合同練習会」。実力を発揮する機会を奪われた高3世代を救済すべく、日本高野連とNPB(日本プロ野球機構)が手を携えて初めて実現した。西日本の選手は甲子園で。東日本の選手は東京ドームでのパフォーマンス披露となる。ネット裏には、プロ12球団だけでなく、大学、社会人、独立リーグのスカウトや関係者が集結した。

プロ志望届提出が条件

 練習会参加の条件としては、「プロ志望届」の提出が前提となる。志望届そのものは、ドラフト会議2週前の10月12日までに出せば、指名対象になるので、明石商(兵庫)の中森俊介や来田涼斗。智弁和歌山の小林樹斗や中京大中京(愛知)の高橋宏斗ら、提出すれば上位指名が確実視される「大物」選手は、まだ提出していない。さらに提出していても参加を見送った選手もいる。履正社(大阪)の関本勇輔や大阪桐蔭の仲三河優太らだ。仲三河に関しては、西谷浩一監督(50)から交流試合の際に、「足の状態が万全でないので出ない」とは聞いている。履正社からは控え投手の内星龍。大阪桐蔭からはパワーヒッターの西野力矢が参加した。

投手の「二刀流」参加も可能

 練習会は2日にわたって行われる。参加者が多い西日本は、2つのグループに分け、それぞれフリー打撃とシートノックを受けて、初日の練習を終えた。打撃は、2つのケージで行い、一方は大学生による投球。もう一方はカーブのマシンを5球ずつ打って交代していく。8割くらいの選手が木製バットで打っていた。投手で参加する選手でも、「二刀流」で打撃をアピールしたい選手は打つことができ、ノックは希望するポジションで受けることができる。

土田、中山、西村ら遊撃に好選手

 CS放送GAORAのLIVE中継で、ずっと実況していたので練習後取材は一切できなかったが、やはり遊撃にいい選手が多かった印象だ。1年夏から近江(滋賀)のレギュラーで甲子園で5試合連続安打の土田龍空(タイトル写真)は、6月の部活動再開後すぐに木のバットで練習を始めた。この日はいい当たりは少なかったが、守備では動きの良さと正確な送球が目を引いた。中京大中京の中山礼都は、土田とともにノックを受け、かなり彼を意識したような動きで、守備範囲の広さをアピールしていた。別グループになったが、高知商の西村貫輔も土田同様、1年夏に甲子園で大ブレーク。3試合で6安打を放った実力どおり、この日も大きな当たりを連発していた。やはり甲子園経験者には余裕が感じられた。

「試合と違った緊張感も」奥村

 昨春センバツ8強の龍谷大平安(京都)の奥村真大は、木のバットにも慣れ、左右に打ち分けていた。放送ゲストの阪神OBの狩野恵輔氏(37)は、「去年、取材したときはサードの守備が課題だと言っていたが、格段によくなっている」と話し、攻守両面でのレベルアップを認めていた。インタビューで奥村は、「甲子園には2回出ているが、試合とは違った緊張感があった。自分はミートに自信があるので、そこは見せられたと思う」と振り返った。同じ京都でスラッガーとして奥村と競い合った京都外大西の山下航汰は、「レベルの高い選手が多く、刺激があったし課題も見つかった」と収穫を口にしていた。

「屋久島の皆さんに感謝」黒飛

 今回、西日本からの参加者は77人に上るが、大半の選手が甲子園未経験で、いきなりの「聖地」に緊張や戸惑いも多かったと思う。放送用にアンケートをお願いし、回答してもらった中で、特に印象的だった屋久島(鹿児島)の黒飛海太捕手の、「練習会」に懸ける思いを紹介する。「無名の僕の参加を快く認めてくださり、たくさんの手配をしてくださった先生。ずっと支えてくれた家族、応援してくれる友人や先輩、後輩。小さいころから面倒を見てくれた島の人々への感謝の気持ちを忘れず、皆さんの期待に応えて恩返しできるよう、全力プレーですべてを出し切り、笑顔で屋久島に帰れるようにしたいです(一部略)」。彼にとっては、忘れられない一日になったであろう。選手たちの懸命のプレーはまだまだ続く。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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