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障がいのあった友が最期に遺したセックスの記録を映画に。改めてイケダのことを語り合えれば

水上賢治映画ライター
「愛について語るときにイケダの語ること」より

 関係者に向けてたった1日の上映で終わる予定が、2021年に劇場公開が決まり、公開がスタートすると異例のロングランを記録した映画「愛について語るときにイケダの語ること」。

 生来、四肢軟骨無形成症の障害があった池田英彦のリアルなセックスと性愛を収めた同作は、上映が始まると口コミで話題に。大きな反響を集めると「イケダに会いに来た」と上映があるたびに劇場にかけつける熱烈な支持者も生まれた。

 そして、劇場公開から2年、いまも続く「どこかで見ることができないか」という声に応える形で、本格的に配信上映がスタートした。

 そこで、劇場公開時も登場いただいた、池田の遺言を受け、映画制作に動き、撮影・脚本・プロデュースを担当した真野勝成氏と、共同プロデューサー・構成・編集を担当した映画監督の佐々木誠氏に再度インタビュー。

 改めて両氏に「愛について語るときにイケダの語ること」について話を訊く。全五回。

「愛について語るときにイケダの語ること」より
「愛について語るときにイケダの語ること」より

 前回(第三回はこちら)、まだ「障がい者の性=タブー」「死=ダークで重い」というイメージが強いことから足を遠ざけられているところがあるのではないかと明かしてくれた二人。

 そのこともまた今回、配信をスタートさせた理由に挙げる。

真野「見てみたい気持ちはあるのだけれど、劇場にいく勇気はない。

 いや、勇気は実際のところまったく必要ないんですけど(苦笑)、でも一歩踏み出せないという作品にイメージがついているところがある。

 じゃあ配信ならば人目を気にしないでいけるでしょうということで。

 (配信が)まだためらっている人の背中を押すきっかけになればなと思っています」

佐々木「そうですね。すでに見てくださった方はわかると思うのですが、前に話したようにセックスを主題にはしていますけど、猥雑でもなければ、エロスを追求しているわけでもない。

 愛について、恋愛についての正直かつ真剣な気持ちをイケダさんが語っている映画ということが、今回の配信を通してより多くの人に広まってくれたらと願っています」

「愛について語るときにイケダの語ること」より
「愛について語るときにイケダの語ること」より

代官山シアターギルドの上映会はひとつの集大成

 前にも触れたが、今回の本格配信スタートに合わせて、現在、上映イベントも実施中。

 8月19日(土)19時~東京・代官山シアターギルドで行われる上映会は、ひとつの集大成的な意味合いを持つ会になりそうだという。

真野「この日は、上映後、僕と佐々木さんと、出演者の毛利悟巳さん、そこにイケダをずっと応援し続けてくれているDJで作家のロバート・ハリスさんにゲストで加わっていただいて、配信記念のトークイベントを実施します。

 ここまでお話してきたように僕も佐々木さんも、ここ数年、『愛について語るときにイケダの語ること』をめぐっていろいろな不思議な縁があった。

 毛利さんも『愛について語るときにイケダの語ること』の世界とつながる舞台への出演があったりと、不思議なめぐりあわせがあった。

 ということで、同窓会ではないですけど、ずっと応援団長のような存在のハリスさんを交えながら、改めて一つの集大成としてイケダについて語り合えたらいいなと思っています」

佐々木「そうですね。

 あと、ハリスさん、ずっと応援してくれているんですけど、実はきちんと映画の感想というか、どういうところを気にいってくれたのかとか、公の場では詳細をあまり語っていただけていないんですよ。よくよく考えると。

 ハリスさん、DJということもあって、ゲストで来ていただいたときも、いつの間にか、聞き役に回ってくださって。

 気づけば、僕らがハリスさんから質問を受けて答えるようなことになっている(苦笑)。

 だから、今回はハリスさんに作品についていろいろと話を訊けたらなと思っています」

真野「それから、訪れたことがある方はわかると思いますけど、代官山シアターギルドはとてもスペシャルな空間で」

佐々木「ものすごくラグジュアリーな映画館なんです」

真野「そんなすばらしい設備の空間で、イケダがプロ用でもなんでもない家庭用のハンディカメラで撮られた映像が基本となっている『愛について語るときにイケダの語ること』を見るというのは、なかなかないでしょうから、これはこれでおつな体験になるのではないかと(苦笑)」

佐々木「またとない機会になると思うので、ぜひお時間があったら参加していただけたらと思っています。そろそろ完売しそうなので、来れない方はもちろん配信でも!」

(※第五回に続く)

【「愛について語るときに…」配信決定インタビュー第一回はこちら】

【「愛について語るときに…」配信決定インタビュー第二回はこちら】

【「愛について語るときに…」配信決定インタビュー第三回はこちら】

「愛について語るときにイケダの語ること」ポスタービジュアル
「愛について語るときにイケダの語ること」ポスタービジュアル

「愛について語るときにイケダの語ること」

企画・監督・撮影・主演:池田英彦

出演:毛利悟巳

プロデューサー・撮影・脚本:真野勝成

共同プロデューサー・構成・編集:佐々木誠

公式サイト → https://ikedakataru.movie

<配信情報>

Amazon Video

U-NEXT 

Google Play /Youtube

ビデオマーケット

シネマ映画.com(二村ヒトシ、能町みね子による特典トーク映像付き)

などで順次配信中

<今後の上映イベント情報>

8月19日(土)19時上映スタート

東京/代官山シアターギルド

(配信記念・特別トークイベント付き)

詳細は→https://theaterguild.co/movie/detail/aiikeda/

9月10日(日)18時~

岡山/玉野市HYM(東山ビル)

(上映後トークイベント付き)

詳細は→https://nuca.thebase.in/items/76723433

写真はすべて(C)2021 愛について語るときにイケダが語ること

映画ライター

レコード会社、雑誌編集などを経てフリーのライターに。 現在、テレビ雑誌やウェブ媒体で、監督や俳優などのインタビューおよび作品レビュー記事を執筆中。2010~13年、<PFF(ぴあフィルムフェスティバル)>のセレクション・メンバー、2015、2017年には<山形国際ドキュメンタリー映画祭>コンペティション部門の予備選考委員、2018年、2019年と<SSFF&ASIA>のノンフィクション部門の審査委員を務めた。

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