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「活弁付き新作無声映画」のライブ公演を全国各地へ。いよいよ本日まで、夢の実現にお力添えを!

水上賢治映画ライター
「I AM JAM ピザの惑星危機一髪!」より

 これまで数々の映画やテレビドラマなどに出演し、役者として確実に着実に存在感を増している辻凪子。

 目指すは「令和の喜劇女優」「世界一のコメディエンヌ」と公言し、学生時代から映画監督としても活動する彼女が、いま大いなるチャレンジに踏み出している。

 それは2年越しで完成させた、辻凪子監督・主演、大森くみこ弁士による活弁付きの新作無声映画「I AM JAM ピザの惑星危機一髪!」の全国巡業公演。

 なぜ、いま無声映画なのか?あまりなじみのない活弁なのか?

 この映画を自ら各地を訪れ、「全国津々浦々まで届けたい」という願いを叶えるべく、クラウドファンディングを現在絶賛実施中の彼女に訊く。(全三回)

できれば活動写真弁士が生で語る『活弁付きの上映』で

多くの方に楽しんでいただきたい!

 前回(第二回はこちら)は主に活弁付きの新作無声映画「I AM JAM ピザの惑星危機一髪!」の制作に先駆けて行うことになった活弁公演「ジャムの月世界活弁旅行」について主に訊いた。

 その活弁公演を経て、今回、活弁付き新作無声映画「I AM JAM ピザの惑星危機一髪!」が完成。

 本作についてのインタビューは後日お届けするが、今回のクラウドファンディングは、この映画の全国各地での活弁公演を実現させるための支援を求めてのものになる。

「前にもお話ししたように、今回完成した映画『I AM JAM ピザの惑星危機一髪!』は、活弁公演版と活弁吹込版という2パターンでの上映になります。

 吹込版に関しても、たとえば生ではなかなかできない音を入れたりして、『吹込版』ならではの創意工夫をしていておもしろい作品になっていると自負しています。

 ただ、『活弁ありきの無声映画』として作っている前提がありますし、まだ見たことのない人に活弁のことを知ってほしい、生での活弁を体験してもらいたい、ということから企画も始まっている。

 なので、『活弁付きの上映』がやはり本筋のバージョンだと思うんです。

 ですから、できれば活動写真弁士が生で語る『活弁付きの上映』で多くの方に楽しんでいただきたい。

 なにより、わたしも活動写真弁士の大森くみこさんも生の声とピアノの生演奏で見てもらうのが一番と考えていて、なるべく活弁付きでの上映の機会を増やしたい。

 ひとつでも多く生の活弁をつけた活弁公演を実現させたい。

 わたしたちが47都道府県に出向き、全国をめぐって直接みなさんの元へ『活弁』を届けたい。

 まさに巡業公演を実現できればなと思っているんです」

「I AM JAM ピザの惑星危機一髪!」より
「I AM JAM ピザの惑星危機一髪!」より

2年ぐらいかけて活弁公演を長いスパンで全国各地に届けていきたい!

『明日からがんばろう』と思える生きる活力みたいなものになってくれたら

 その全国津々浦々まで届けるための今回はクラウドファンディングになる。

「まだ『活弁』をみたことのない、未体験の人がいると思うんです。

 数年前のわたしがまさにそうでしたから。

 そういうみなさんに一度でいいから生の『活弁』を味わってほしい。

 映画完成まで2年がかかりましたけど、今度は2年ぐらいかけて活弁公演を長いスパンで全国各地に届けていきたい。

 都市部の映画館だけではなくて、地方の映画館でもどんどん活弁公演をしたい。

 ふだん、なかなか映画を観ることができないようなエリアもありますけれど、そういうところも訪れたい。

 なかなか難しいとは思うんですけど、ほんとうにその土地で生活している地元のみなさんを、大人から子どもまで男女問わず、呼び込みたいというか。

 ふだん映画館にあまりこない、映画から遠ざかっている人のもとに届いて、たとえば『明日からがんばろう』と思える生きる活力みたいなものになってくれたら、というのが理想です。

 あと、コロナの影響で、いま映画館の閉館のニュースがたびたび報じられています。

 前にお話ししたように、わたしはミニシアターが大好きで、映画監督として自分が育てられた場所でもある。

 なので、これらのニュースに触れるたびにすごくつらくて胸が痛む。

 ですから、この活弁上映が、いまの苦境を少し好転させるようなきっかけになってくれたらうれしい。

 全国のミニシアターを盛り上げることにもつなげられたらと考えています」

夢の実現にみなさまのお力添えを!

 辻はこう言葉を寄せる

「ほんとうに繰り返しのお願いになってしまって恐縮なんですけど、ひとつでも多くの活弁付き上映を実現させて、ひとりでも多くの方に生での活弁を届けたい。

 その夢の実現にみなさまのお力添えをいただけたら幸いです。よろしくお願いします」

 いまの時代にあえて、活弁付きの無声映画を作り上げて、新作映画として劇場に届ける。

 しかも、ライブ公演を基本として、ひとりの主演俳優として映画監督として作品を人任せにすることなく、自らの手で全国各地の一か所一か所へ届けようとしている。

 時間も手間もかかるこのようなアクションを起こすことは生半可な気持ちではできない。

 前例のない試みに取り組んでいるといっていいだろう。

 女優、映画監督として新たな一歩を踏み出したといっていい辻凪子の大いなるチャレンジに注目してほしい。

【辻凪子第一回インタビューはこちら】

【辻凪子第二回インタビューはこちら】

「I AM JAM ピザの惑星危機一髪!」ポスタービジュアル
「I AM JAM ピザの惑星危機一髪!」ポスタービジュアル

「I AM JAM ピザの惑星危機一髪!」

監督・脚本・主演:辻凪子

活動写真弁士:大森くみこ

出演:間寛平、塚地武雅、石田剛太、酒井善史、角田貴志

公式サイト https://www.iamjam-movie.com/

11/25(金)より京都みなみ会館先行上映、12/3(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開

写真はすべて(C)2020 活弁映画『I AM JAM』製作プロジェクト

映画ライター

レコード会社、雑誌編集などを経てフリーのライターに。 現在、テレビ雑誌やウェブ媒体で、監督や俳優などのインタビューおよび作品レビュー記事を執筆中。2010~13年、<PFF(ぴあフィルムフェスティバル)>のセレクション・メンバー、2015、2017年には<山形国際ドキュメンタリー映画祭>コンペティション部門の予備選考委員、2018年、2019年と<SSFF&ASIA>のノンフィクション部門の審査委員を務めた。

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