中国でコロナ感染のリバウンドは「旅行」が原因
中国で、新型コロナウイルスの市中感染が拡大している。最初の感染確認から、わずか1週間足らずで11の省に感染が拡がり、中国当局は対応に追われている。日本でGo To トラベルの再開も検討されるというが、中国で感染拡大を許した最大の原因は「旅行」だった。
11省にコロナ感染拡大の猛威
中国政府の防疫担当者らが24日に開いた記者会見によれば、中国では10月17日以来、1週間以内に11の省に感染が拡散。前日までに、累計で133人の感染が確認されたが、うち106人は国内の旅行と関係があったという。検出されたのは感染力の強いデルタ株の変異種で、以前に中国国内で流行したものとは違うため、外国から流入したものだとみられている。
今回の感染連鎖が発覚したきっかけは、上海から陝西省に旅行で来ていた老夫婦だった。夫婦を含め同じグループツアーに参加していた8人全員が、後に感染確認される。このツアーは、陝西省の前に内モンゴルを訪ねていた。
感染者の共通点は内モンゴル
感染の経路を辿り、今回の感染患者のほとんどは、内モンゴルに直接または間接的にかかわっていることが判明している。旅行ツアーなどで内モンゴルを自ら訪問した人と、彼らが生活や移動の際にかかわった濃厚接触者だ。
ちなみに北京では、内モンゴルに自分で車を運転して行き、後に感染が確認される夫婦が、北京に戻った後、のどの痛みや発熱の症状があったにもかかわらず、友人たちを呼んで麻雀に興じた。その後、内モンゴルで感染が拡大していることがわかり、同地は中リスク地域に指定されたため、訪問歴がある夫婦は報告などの義務が生じたが、これを怠り、警察の捜査対象となっているという。
夫婦の誘いに応じ麻雀に興じた5人の感染が確認された。
北京の冬季オリンピックは大丈夫か?
感染リバウンドに、冬季五輪を来年2月に迎える首都北京は、警戒を強めている。
上記の例もその一つだが、北京市が24日に明らかにしたところでは、検温や実名登録などの手続きを踏まず、咳止めや風邪薬を売った薬局店主らも、警察が捜査しているという。また、市中感染者が一人でも出ている県(注:日本の県よりも小さい)や区などに、2週間以内に訪問歴にある者は、北京に入ることを禁じるなどの措置も、同日発表した。
日本では、日々、新規感染者数が減り、感染対策と経済活動との両立がやっと現実的に議論される段階となった。その中で、Go To トラベル事業の再開も検討され、期待する向きも多いようだが、少なくとも中国の例を見る限りは、人の移動が感染拡大に拍車をかけるという新型コロナウイルスの性質は、変わっていない。