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過去最長だったCOP25 最短はあの議定書が採択された97年

南龍太記者
ニューヨークの電光掲示板に映し出された米誌タイムの「今年の人」

 スペインで開かれていた国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)は、会期を2日間延ばして14日間に及び、15日に閉幕した。米国による国際枠組み「パリ協定」の離脱通告など、各国の足並みの乱れがみられる中、来年2020年は協定が実行段階に移る。各国の結束力が試される年となりそうだ。

 今回延びた会期はCOP史上最長だったが、近年は毎度のように会期が延長されている。過去の開催状況はどうだったか。COP1からCOP25までの大まかな歩みを、年表とグラフで振り返る。最短だったのは、あの京都議定書が採択されたCOP3だった。

 COP26は来年11月9日から19日まで、英国グラスゴーで開かれる予定。

最短は10日、平均は12日

 1995年に始まったCOP、特例的に2部構成で再開会合と合わせて2回あったCOP6を勘案すると、過去の開催期間の平均日数は12.3日。

 2018年や17年など、最近は議論がまとまらずに予定されていた会期が延長されることが目立つ。今年は2日間と過去最長の延期となった。他方、京都議定書の詳細に関する交渉を行った2000年のCOP6では、議論が紛糾して会議は中断、合意に至らぬまま閉幕となった。翌01年に再開するという異例の会合となった。

過去のCOP会期日数の推移
過去のCOP会期日数の推移

 最短だったのは、京都議定書が取りまとめられて歴史的会合となった1997年のCOP3(日本・京都開催)と2002年のCOP8(インド開催)でそれぞれ10日間だった。

COPの歩み
COPの歩み

開催地はドイツが最多

 今回のCOP25は当初チリで開かれる予定だったが、反政府デモなどの国内情勢に照らして開催を断念し、急きょスペインでの開催に変更となった。

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 開催地を地域別に見ると、欧州が半分の13回、そのうちドイツが最多の4回、次いでポーランドが3回だった。来年の英国は初開催となる。

 海面上昇で水没の危機が取りざたされる島国の多い大洋州(オセアニア)だが、同地域での開催はまだない。

来年は英国で11日間

 ぎりぎりの調整が続いて15日に開幕したCOP25は、温室効果ガスを減らす取り組みの強化で合意したが、各国の結束力にかげりも見えた。

 来年、英国のグラスゴーで11日間の予定で開かれるCOP26までに、全ての国が気候変動への取り組みを明確にする必要がある。今回のCOP25を見る限り、想定通りに事が運ぶかは不透明だ。

(※ 画像は筆者が撮影、作成)

記者

執筆テーマはAI・ICT、5G-6G(7G & beyond)、移民・外国人、エネルギー。 未来を探究する学問"未来学"(Futures Studies)の国際NGO世界未来学連盟(WFSF)日本支部創設、現在電気通信大学大学院情報理工学研究科で2050年以降の世界について研究。東京外国語大学ペルシア語学科卒、元共同通信記者。 主著『生成AIの常識』(ソシム)、『エネルギー業界大研究』、『電子部品業界大研究』、『AI・5G・IC業界大研究』(産学社)、訳書『Futures Thinking Playbook』。新潟出身。ryuta373rm[at]yahoo.co.jp

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