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台風1号 1号としては最も北上し、小笠原は記録的な暴風のおそれ 関東への影響は?

三ヶ尻知子気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
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台風1号 強い勢力で小笠原諸島に接近

大型の台風1号は、フィリピンの東の海上で、発達しながら北上しています。12日(火)には強い勢力の台風となり、13日(水)には中心気圧が950hPa、中心付近の最大瞬間風速は60メートルに達する予想です。15日(金)には、強い勢力を保ったまま父島など小笠原諸島に接近するおそれがあります。

1号としては本州の南海上で最も北上か

下の図は、過去の台風1号の経路図です。九州の南まで北上したものがありますが、本州の南海上(東経140度付近)の位置をみると、北緯25度より北上してきた台風1号はありません。小笠原諸島付近でみても、父島の北を通過した台風1号は、統計のある1951年以降ありませんでした。

画像 過去の台風1号の経路図 国立情報学研究所 
画像 過去の台風1号の経路図 国立情報学研究所 

ただ、今回、予報円の中心を進んだ場合、父島の北を通過する予想で、本州の南海上に限ってみると、1号としては最も北上する台風ということになります。太平洋高気圧が例年より北へ張り出しているためです。父島を直撃するおそれがあり、父島など小笠原諸島では暴風や大雨に厳重な警戒が必要です。

小笠原諸島は4月としては記録的な暴風になるおそれ

父島に接近時の中心気圧は970hPa程度の強い勢力で、最大瞬間風速は50メートルになる見込みです。最大瞬間風速50メートルというと、屋外での行動は極めて危険ですし、看板が落下したり、トラックが横転するほどの風の強さです。4月としては観測史上1位の暴風が吹き荒れるおそれがあり、小笠原では厳重な警戒が必要です。

関東に接近する可能性はあるのか

タイトル図の台風進路図をみると、予報円の一番北側を進んだ場合、八丈島にかなり接近し、関東地方に近づく可能性がある予想になっています。ただ、日本のアンサンブル予報や、欧米のコンピュータのシミュレーション結果をみると、予報円の中心付近を進む可能性が高い見込みです。

下図のGSMの雨予想でも台風本体の雨雲は関東地方からかなり離れて通過するでしょう。

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ただ、台風の北側に前線があって、台風周辺の湿った空気が流れ込み、関東や東海地方で、まとまった雨になる可能性があります。また、沿岸部では強風や高波にも注意が必要です。八丈島など伊豆諸島では警報級の大雨や暴風になるおそれもあります。13日(水)には、詳しい予想が出ていると思うので、最新の予想をチェックするようにしてください。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

1996年に気象予報士の資格取得。大分県出身。日本テレビ、NHKを経て、現在は、TBSテレビ気象キャスター。南国から雪国まで住んだ経験を活かし、主婦目線、母目線で天気を解説。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など

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