Yahoo!ニュース

台風10号 非常に強い勢力で西日本に接近、上陸か 甚大な災害のおそれ

三ヶ尻知子気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
ウェザーマップ 台風進路と海水温

台風9号は、非常に強い勢力を維持して東シナ海を北上中。2日は九州で暴風やうねりを伴った高波、高潮、大雨による土砂災害、川の氾濫に厳重に警戒してください。

そんな中、早くも次の台風10号が発生。この台風は発生前から気象予報士のなかで注目を集めていました。それは海外の計算結果がインパクトのある強さを計算していたからです。日本の気象庁はどう予想するのか注視するなか、非常に強い台風にまで発達する予想となりました。更にその非常に強い勢力を維持したまま、6日(日)西日本に接近、上陸するおそれがあります。

なぜ非常に強い勢力を維持したままで接近するのか→高い海水温と発生場所が原因

まず、一つ目の原因である高い海水温

台風は海水温が高いと、大量の水蒸気のエネルギー補給を受けて急速に発達します。今年は、東・西日本から日本の南海上にかけて記録的な高温となったため、海水温もかなり平年より高くなり、8月としては最も高くなりました。日本付近まで海水温が30度になっているのを見たのは私も初めてです。夏に海水浴に行くと、入ってみると意外に冷たい!と感じた経験は少なくないと思いますが、今年は、広範囲に、まるで温水プールができている状況なのです。

二つ目の原因は台風10号の発生場所

今年の台風進路 国立情報学研究所より
今年の台風進路 国立情報学研究所より

今年発生した台風の経路を見ると(上図)、全てが東経130度付近より西で発生しています。ただ、この台風10号は東経140度付近で発生。唯一この場所で発生したことが発達の原因です。通常、台風の通過によって海の水は水深50メートル位までかき混ぜられるので、台風が通過すれば、通過した海の表面海水温は、深い海の冷たい水が上昇するため、低くなります。タイトル図の海水温を見ると、台風が通過した南・東シナ海は海水温が低くなっていることがわかります。ところがこの10号はこれまでの台風とは違う場所で発生したため、水がかき混ぜられることなく、高い海水温をキープ。外海では海水温の上限ともいえる31度以上の海域で発生しました。

まだ予報円が大きいので、どこに上陸するかはわかりませんが、西日本接近時の6日(日)に中心気圧950ヘクトパスカル、最大瞬間風速60メートルを予想しています。'''これは去年、東日本や北日本で記録的な大雨となり甚大な被害を出した台風19号より強いレベルの可能性があります。19号の時は10月12日に静岡、神奈川、東京、埼玉、群馬、山梨、長野、茨城、栃木、新潟、福島、宮城、13日に岩手に重大な災害の起こるおそれが著しく高まっている場合に出される特別警報が発表されました。

今回の10号も特別警報級の可能性があります。

週末になる前に、避難経路や避難グッズを早めに準備するようにしてください。'''

追記 タイトルを一部修整しました。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

1996年に気象予報士の資格取得。大分県出身。日本テレビ、NHKを経て、現在は、TBSテレビ気象キャスター。南国から雪国まで住んだ経験を活かし、主婦目線、母目線で天気を解説。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など

三ヶ尻知子の最近の記事