Yahoo!ニュース

「悲観せずに、いままで通り、一歩一歩がんばっていきたい」永瀬拓矢前王座コメント

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

永瀬拓矢前王座「(先手番、角換わりの将棋で早めに仕掛けた)昼休明けの(41手目)▲7五歩までは予定ではあったんですけど。(次手)△8四飛車に対して、こちらも選択肢が多くて。長考になって、難しかったような気がします。(検討陣は優勢から勝勢になったと見ていたが)いや、難しいのかなと思って指していました」

永瀬「(敗着は?)そうですね。(122手目△5五銀のあと本譜の)▲5三馬に代えて▲4二金なら。△同金▲同成銀△同玉▲5二飛車(変化図)がちょっとエアポケットに入ってしまって」

永瀬「▲6二飛車だと足りないと思ったんですけど▲5二飛車(△3三玉)から▲5五馬まで駒が取れるので。たぶんそれならという感じで。その順は難しい順ではなかった気がするので。そうですね。逃してはいけなかったと思っています。(五番勝負を振り返って)前のタイトル戦の棋聖戦(2022年度棋聖戦五番勝負、藤井棋聖を相手に1勝3敗2千日手)よりはだいぶ差が縮まったのかなとも思ってたんですけど。そうですね。終盤でチャンスがあったときに、決定力が足りずに、すぐ負けになってしまうというのが2局続けてしてしまいましたので。そうですね。それは、なんとかしなければいけないとは思うんですけど。全体的には、一局一局全力で挑むことができて。一生懸命指して、内容としても、どれも見応えのある瞬間はあったかなとは思いますので。自分なりに一局一局ベストを尽くして、いまの自分の全力は出せたんじゃないかなとは思うんですけど。ただ、第3局、第4局とチャンスという局面もありましたので。どちらかをものにできていれば、次(第5局)につながっていましたので、その点は残念だなと思います。(名誉王座の資格がかかっていた)最初聞かれたら『それ(名誉王座)を目指してがんばります』ということだったんですが。途中からは一局一局、トーナメント戦というか、一局一局ベストを尽くすという方向でしたので。そちらの方を意識して取り組んでいたかなと思います。ただ、結果としてはとても残念だなと思います。(無冠になってしまったが)公式戦で藤井さんに教えていただいて。番勝負始まる前と後ではだいぶ、見えてきたものも違うかなとは思いますので、個人としては悲観せずに、いままで通り、一歩一歩がんばっていきたいなと思っています」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

松本博文の最近の記事