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藤井聡太竜王(20)第1期新銀河戦で優勝! 決勝三番勝負で久保利明九段(47)に2連勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月17日、第1期新銀河戦決勝三番勝負第2局▲藤井聡太竜王(20歳)-△久保利明九段(47歳)戦が放映されました。

 第1局は久保九段先手で中飛車。結果は90手で藤井竜王が勝ちました。

 第2局は先後が替わって、藤井竜王先手。後手の久保九段は角筋をオープンにしたまま四間飛車に振ります。さこから玉を移動させたあと、三間にスイッチしました。

 藤井竜王が2筋で飛車先の歩を交換したのに対して、久保九段は歩を受けて謝らず、向かい飛車の形を作って、巧みに逆襲の姿勢を築きます。藤井竜王にとってもあまり見たことのない作戦で、対応が難しかったようです。

 進んで藤井竜王は馬を作ることに成功。中盤は少しずつ藤井ペースで進んでいきます。しかし久保九段は崩れずに持ちこたえ、駒得の戦果をあげて互角に持ち直しました。

 もし持ち時間があれば、どちらも熟慮したいであろう状況の中、超早指しの設定のため、局面はどんどん進んでいきます。やがて形勢は、藤井竜王が優位に立ちました。

 終盤、久保九段の反撃によって、藤井玉もかなり迫られる形となりました。しかし藤井竜王はそこをしのぎ、久保玉を寄せにいきます。

 145手目。藤井竜王は桂を打って王手をかけます。これで久保玉は詰み。久保九段が投了し、熱戦に幕がおろされました。

 かくして記念すべき第1期の新銀河戦は、藤井竜王が優勝を飾りました。

 藤井竜王は1回戦、田中寅彦九段を相手に必敗に陥りながら、田中九段が一字駒の成銀を金と勘違いして打ち、反則勝ちとなるアクシデントなども経験。超早指しのスリリングな戦いを勝ち抜いて、見事に栄冠を手にしました。

 本大会の敢闘賞には木村一基九段が選出されました。準決勝の久保九段-木村九段戦などは、すさまじい大熱戦でした。

 また女流賞には里見香奈女流五冠(佐藤天彦九段に勝利、久保九段に敗退)と山根ことみ女流二段(杉本昌隆八段に勝利、藤井竜王に敗退)が選ばれています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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