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六冠候補・藤井聡太(20)タイトル100期目前・羽生善治(52)12月8日、棋王戦敗者復活戦で対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月8日。東京・将棋会館において第48期棋王戦コナミグループ杯・敗者復活戦決勝、藤井聡太竜王(20歳)-羽生善治九段(52歳)戦がおこなわれます。

 藤井竜王は今期、中川大輔八段、久保利明九段、豊島将之九段に勝ち、準決勝で佐藤天彦九段に敗れました。そして敗者復活戦に回り、伊藤匠五段に勝っています。

 羽生九段は千葉幸生七段、佐藤康光九段、広瀬章人八段、伊藤匠五段に勝って勝者組決勝に進出。そこで佐藤天彦九段に敗れて、敗者復活戦に回っています。

 本局の勝者は挑戦者決定二番勝負に進出。勝者組を制した佐藤天彦九段と対戦します。

 佐藤九段にはアドバンテージがあり、2局のうち1勝をあげれば挑戦。敗者組から勝ち上がった側は2連勝が必要となります。

 将棋界の歳時記では、年度終盤のタイトル戦といえば王将戦七番勝負と棋王戦五番勝負です。

 近年、これらの棋戦で圧倒的な実績を積み重ねてきたのが「冬将軍」と呼ばれる渡辺明棋王です。

 昨年度の王将戦では藤井挑戦者に王将位を明け渡しましたが、10連覇中の棋王戦ではどこまでタイトルを保持し続けられるのか。渡辺棋王に誰が挑戦しても、興味深い五番勝負となるでしょう。

 王将戦では「藤井王将-羽生挑戦者」という形で、両者初のタイトル戦が決まりました。

 こちら棋王戦では、渡辺棋王への挑戦権を争う立場で、藤井竜王と羽生九段の対戦が実現しています。

 両者の過去の対戦成績は藤井6勝、羽生1勝です。

 直近では今年の日本シリーズ2回戦で当たり、藤井竜王が勝っています。

 藤井竜王の今年度成績は28勝7敗(勝率0.800)です。(12月4日現在)

 竜王戦七番勝負では広瀬章人八段の挑戦をしりぞけ、4勝2敗で防衛を達成しました。

 いまから28年前の1994年12月8日・9日には、佐藤康光竜王に羽生五冠(名人・王位・王座・棋王・棋聖)が挑む第7期竜王戦七番勝負第6局がおこなわれていました。結果は羽生挑戦者の勝ち。4勝2敗で竜王復位を果たしています。

 羽生新六冠はこのとき24歳2か月。これが現在までに残る最年少六冠の記録です。もっとも「最年少」といっても、羽生現九段のほかに達成した棋士はいません。

 藤井五冠(竜王・王位・叡王・王将・棋聖)が今年度中に王将位を防衛し、棋王位を獲得すれば、羽生現九段の記録を抜いて、史上最年少での六冠となります。

 六冠、七冠を達成した羽生九段は時を経て現在、六冠候補・藤井竜王の進撃をはばむ側に回ったことになります。

 そしてもちろん羽生九段が王将か棋王を獲得すれば、記念すべきタイトル通算100期に達します。

 羽生九段の今年度成績は21勝11敗(勝率0.656)です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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