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超早指しも強い! 藤井聡太竜王(20)新銀河戦で決勝進出! 準決勝・菅井竜也銀河(30)戦に勝利

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 11月26日。第1期新銀河戦準決勝▲菅井竜也銀河(30)-△藤井聡太竜王(20)戦が放映されました。

 今年から始まった超早指しの新銀河戦。持ち時間は各1分で、一手指すごとに10秒が加算される「フィッシャー方式」です。

 先手の菅井銀河は中飛車から穴熊に。藤井竜王は居飛車で、左美濃→銀冠→穴熊と組み替えました。準決勝のもう一局▲久保利明九段-△木村一基九段戦も相穴熊で、早指しの将棋はやはり、堅い玉が好まれる傾向にあるようです。

 菅井八段、藤井竜王ともに金銀4枚を集結させる堅陣を築きます。藤井竜王が銀を呼び込んだのに応じて、菅井八段は攻めを開始。中盤の本格的な戦いが始まりました。

 形勢は微妙に揺れ動きながら迎えた終盤の98手目。攻めるか受けるか難しそうなところで、藤井竜王はじっと自陣に銀を埋めます。

「ああ、それはすごいですね・・・。銀の鉄柱を」

 銀が3枚縦に連なった形を、解説の渡辺明名人はそう表現していました。藤井竜王は一局を通して、粘り強く指す方針だったようです。

 105手目。菅井銀河は取れる金を取らず、歩を成り捨てます。いかにも上級者らしい一手でしたが、形勢はこのあたりで藤井竜王に好転したようです。

 藤井玉は盤上隅から引っ張り出される形となりましたが、上部に安全なスペースが残されていて、つかまりません。一方、菅井玉は狭いところで手がついてしまうと、受けが難しい形です。

 150手目。藤井竜王は角を打ち捨てます。これがいつもながらに鮮やかな決め手。角、龍と順に捨てて、菅井玉を即詰みに討ち取って、156手で藤井竜王の勝ちとなりました。

 かくして藤井竜王は決勝三番勝負に進出。記念すべき第1期の決勝三番勝負を久保九段と戦うことになりました。

 第1局は12月10日に放映されます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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