Yahoo!ニュース

羽生善治九段(52)B級1組で3勝5敗に 近藤誠也七段(26)に受けの妙手を喫して敗れる

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月1日。第81期順位戦・B級1組9回戦の対局がおこなわれました。結果は以下の通りです。

中村 太地七段(7勝1敗)○-●郷田 真隆九段(1勝7敗)

佐々木勇気七段(6勝3敗)○-●三浦 弘行九段(4勝5敗)

澤田 真吾七段(5勝3敗)●-○千田 翔太七段(4勝4敗)

山崎 隆之八段(5勝3敗)○-●丸山 忠久九段(3勝6敗)

近藤 誠也七段(5勝4敗)○-●羽生 善治九段(3勝5敗)

久保 利明九段(4勝4敗)●-○横山 泰明七段(4勝4敗)

屋敷 伸之九段(3勝5敗)=空き番

 A級復帰を目指す羽生九段(52歳)は、今期B1最年少の近藤七段(26歳)と対戦。羽生九段先手で角換わり腰掛銀となり、形勢ほぼ互角のまま、勝敗不明の終盤戦に入りました。

 111手目。羽生九段は銀を打って寄せに出ます。羽生九段は6時間の持ち時間を使い切って一分将棋。近藤七段は残り6分でした。

 近藤七段は2分弱の考慮で、ねらわれている銀をタダで取られるところにかわします。これが驚くべき受けの妙手でした。

 羽生九段は龍でタダの銀を取ると、龍の横筋がそれて寄せのスピードが遅くなります。そこで取れる銀を取らず、王手で角を打ち込んで攻め続けますが、近藤七段に玉をかわされてみると、寄せ合いの速度が逆転しました。

 近藤七段は羽生玉を一気に受けなしに追い込みます。対して近藤玉は詰みません。羽生九段が投了し、23時31分、130手で近藤七段の勝ちとなりました。

 近藤七段は5勝4敗となり、A級昇級に望みをつなぎました。

 一方、羽生九段は3勝5敗となり、今期でのA級復帰は難しくなりました。

 9回戦が終わって、トップは7勝1敗の中村太地七段(34歳)です。

 2敗もいなくなり、中村七段は独走態勢に入っています。ただし、残る4戦もやはり強敵揃い。最終局の羽生九段戦も控えており、まだまだ予断を許しません。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

松本博文の最近の記事