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里見香奈女流五冠(30)夢をつなげるか? 9月22日、棋士編入試験第2局で岡部怜央四段(23)と対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月22日。東京・将棋会館において棋士編入試験五番勝負第2局▲里見香奈女流五冠(30歳)-△岡部怜央四段(23歳)戦がおこなわれます。

 里見女流五冠は第1局、徳田拳士四段に敗れました。

 徳田四段は9月20日時点で年度成績は17勝1敗(勝率0.944)。里見女流五冠が第1局でいかに強敵と当たったかがよくわかります。とはいえ、運営側がなんらかの作為をほどこしたわけではありません。試験で対局相手を務める棋士は、棋士番号の若い順から自動的に決まります。

 岡部四段も徳田四段と同じく、今年4月に四段に昇段。1999年生まれで現在23歳のルーキーです。

 岡部四段は2011年には小学生名人戦で準優勝。そこから奨励会に入会し、棋士を目指しました。

 岡部四段は山形県鶴岡市出身。同県出身者としては北楯修哉八段(1912-1997)、飯田弘之七段(1962-)、阿部健治郎七段(1989-)に続いて4人目の棋士となります。

 岡部四段の今年度成績は6勝6敗(勝率0.500)。居飛車党で、序盤戦術の研究が深いという評判を耳にします。

 本局は里見女流五冠が先手番。戦型は十八番の中飛車が本命でしょうか。

 里見女流五冠は多忙をきわめるスケジュール。女流棋戦では31局戦って22勝9敗(勝率0.701)。一般棋戦では14局戦って8勝6敗(勝率0.571)です。

 里見女流五冠は立場上、棋士編入試験一本にしぼることはできません。その点では、これまでの受験者とは置かれている状況が異なります。

 注目の五番勝負。里見女流五冠はここで1勝を返して、合格の可能性を高めることはできるでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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