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小山怜央アマ(29)棋士編入試験の受験資格を獲得! 奨励会未経験者としては史上初の快挙

松本博文将棋ライター

 9月13日。東京・将棋会館において第16回朝日杯将棋オープン戦一次予選3回戦▲小山怜央アマ(29歳)-△中川大輔八段(54歳)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 10時に始まった対局は11時16分に終局。結果は71手で小山さんの勝ちとなりました。

 小山さんは直近のプロ公式戦成績が10勝5敗(勝率0.667)。高いハードルをクリアして、棋士編入試験の受験資格を獲得しました。

 奨励会(棋士養成機関)に在籍した経験のないアマチュアが、現在の規定をクリアして受験資格を獲得するのは、史上初の快挙です。

 小山さんは14時からおこなわれる一次予選決勝で井出隼平五段(31歳)と対戦します。もし二次予選に進出すれば清水上徹アマ(2009年)と森下裕也アマ(2015年)に続いて史上3人目となります。

小山さん、横歩取りで快勝

 アマチュアトップクラスとして活躍してきた小山さん。これまでプロ公式戦でも実績を積み重ねてきました。昨年は竜王戦6組でベスト4にまで進んでいます。

 小山さんは今期朝日杯一次予選において、岡部怜央四段、戸辺誠七段と強敵を連破。3回戦に進み、中川八段と対戦することになりました。

 振り駒の結果「と」が3枚出て小山さんが先手。後手の中川八段は比較的クラシカルなタイプの横歩取りに誘導しました。

 小山さんは臆することなく、定跡通りに飛車金交換に。進んで33手目、相手陣に角を打ち込んで、形勢をリードしました。

 中川八段も角を相手陣に打ち込み、互いにその角を生け捕りにする珍しい進行。駒が振り替わったあと、小山さんは相手陣の飛車を攻めながら優位を拡大し、勝勢を築きました。

 小山さんは取った飛車を打ち込んで自然な攻めが続きます。中川八段は支えきれない形となり、静かに投了を告げました。

 偉業を達成した小山さん。受験をするかどうかについては、これから考えた上で決めるそうです。

 小山さんの今後の動向が注目されますが、まずは本日午後からの井出五段戦が控えています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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