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「崩れずに指すことはできた」「長考してもわからない場面が多かった」王位を防衛した藤井聡太王位コメント

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

藤井聡太王位「(後手番で角換わり腰掛銀となり、36手目)△4四歩から△4一飛車は、この形になればやってみようかなと思っていたんですけど。ただ、そうですね、そのあとはよくわからなくて。(52手目)△5三金と上がったんですけど、ちょっと▲3五歩から▲5六歩で、なんか仕掛けられてみると、かえって当たりが強いような形になってしまっているのでちょっと、自信がない展開なのかな、と思っていました。△5三金に代えてなにかもっと違う手も考えないといけなかったのかな、とは思います。(封じ手は60手目△8六歩)そうですね。(直前に)▲5五歩を止めて、なんかあまり思わしい手がちょっとわからなかったので。本譜は少し細いですけど、攻めていって勝負しようかなと思いました。(62手目△5七歩と垂らして攻めていった)そうですね、こちらの歩が少ないのでちょっと自信がないかな、とは思っていました。(72手目△5四歩から自陣の銀を進めて攻めていった)ちょっとやっぱりこちらの玉がかなり薄くなるので。ただ自信はないですけど、展開としては攻めていくしかないので、仕方ないのかなと思っていました。(79手目、金取りに突かれた)▲5四歩のとき金の逃げ方が難しくて。本譜だと3二金が浮く形なので(81手目)▲9八角打たれることはけっこうあるのかなとは思っていました。▲9八角は瞬間窮屈な形ですけど、ただ、こちらが2歩損で自玉も薄い形なので、やっぱりあまり、自信ある展開ではなかったです。(94手目)△1三角と打って、先手からけっこうぴったりした受けは難しいのかなと思っていたんですけど、ただ本譜、▲7九歩と受けられたときに方針がわからなくなってしまって。本譜はなんかまた自信のない・・・。(97手目)▲8四金と打たれて自信のない形になっている気がしました。本譜では苦しくてもおかしくはないと思ったんですが、ただ、流れからは仕方ないのかなと思って進めていました。(120手目)△6八成銀から△6九飛車と打つ手が間に合う形になって、そのあたりはなんとか攻めの形は作れたのかなと思っていました。(一局を振り返って)やっぱり常に中盤以降玉が薄くて。なんか自信のない将棋だったんですけど。崩れずに指すことはできたのかな、と思います。(シリーズを振り返って)王位戦はすべて角換わりの将棋でしたけど、どの将棋もかなり中盤が難しくて。長考してもわからない場面が多かったなと思います」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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