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棋士編入試験受験で注目される里見香奈女流五冠、加古川青流戦ではベスト8で敗退 齊藤優希三段に敗れる

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 8月30日。大阪・関西将棋会館において加古川青流戦準々決勝▲齊藤優希三段-△里見香奈女流五冠戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は12時25分に終局。結果は105手で齊藤三段の勝ちとなりました。

 齊藤三段はこれでベスト4に進出。さらには14時からおこなわれた準決勝で山本博志四段にも勝ち、決勝三番勝負進出を決めました。

齊藤三段、終盤で競り勝つ

 里見女流五冠はまず得意の中飛車に構えます。両者の攻めの銀が中段に進んで、戦いが起こりました。

 54手目。里見女流五冠は持ち駒の銀を相手陣に放り込みます。あまり見たことのない攻め筋から手をつなぎ、勝敗不明のまま終盤を迎えました。

 83手目。齊藤三段は桂を打ちます。美濃囲いの金を攻める手に対して、里見女流五冠はどう応じるか。齊藤三段は持ち時間1時間を使い切って一分将棋。対して里見女流五冠は1分を残していました。

 84手目。里見女流五冠は時間を使い切ったあと、あえて玉とは反対の方に金を逃げます。ここで形勢がまぎれたか。コンピュータ将棋ソフトの形勢判断によれば、金は玉に寄せる順が優り、それならば里見女流五冠有望だったようです。

 齊藤三段は里見陣に飛車を打ち込み、一気に寄せ形を作ります。最後は里見玉を即詰みに討ち取って、終局となりました。

 一般公式戦で破竹の勢いで勝ち進み、棋士編入試験の受験資格を得た里見女流五冠。直近では4連敗となりました。

 里見女流五冠は現在、女流タイトル六冠目を目指して白玲戦七番勝負も戦っている最中。今後もタイトなスケジュールは続いていきます。

 注目の棋士編入試験五番勝負第2局は9月22日におこなわれます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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