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現役最年少・伊藤匠五段(19)竜王戦6組決勝進出! 兄弟子・斎藤明日斗五段(23)を降す

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月27日。東京・将棋会館において第35期竜王戦6組ランキング戦準決勝▲斎藤明日斗五段(23歳)-△伊藤匠五段(19歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は22時15分に終局。結果は132手で伊藤五段の勝ちとなりました。

 伊藤五段は決勝に進出。5組昇級を決め、同い年の高田明浩四段(19歳)と優勝、本戦進出を争います。

 斎藤五段は昇級者決定戦に回り、5組昇級を目指すことになります。

弟弟子が熱い一番を制す

 斎藤五段と伊藤五段は宮田利男八段(69歳)門下。本田奎五段(24歳)も加えて宮田門下は俊英揃いです。

 斎藤五段と伊藤五段は数多くの練習対局をこなしてきた間柄。公式戦での対局はこれまでありませんが、先日のABEMAトーナメントで対戦し、弟弟子の伊藤五段が勝っています。

 本局は斎藤五段が先手。初手に1分を使って、端1筋を突きました。対して伊藤五段は4分で端を突き返します。両者ともに様々なことを考え、この出だしになったのでしょう。

 進んで斎藤五段は三間飛車。斎藤五段は玉を4筋に置いたままの駒組。対して伊藤五段は2筋一段目に深く囲います。ともに現代調の玉形。振り飛車対居飛車の戦いも、日進月歩で進化を遂げています。

 同じ日、大阪・関西将棋会館では現役最年長だった桐山清澄九段(74歳)が最後の対局に臨んでいました。

 桐山九段は最後の一局、現代最新の四間飛車で戦っていました。

 本局、先に動いたのは斎藤五段。それに応じながら伊藤五段は自玉周辺に駒を集めながら厚みを築き、まずはリードを奪いました。対して斎藤五段は相手陣の弱点である薄い端に手をつけ、追い上げていきます。

 終盤、伊藤玉は強力な龍(成飛車)に追われながらも中段に逃げ越し、容易に捕まらない形に。対して斎藤玉は下段に追い込まれて受けなしに。伊藤五段が熱い一番を制しました。

 伊藤五段が決勝で対戦するのは、同じ2002年生まれの高田明浩四段(19歳)です。

 やはり同い年の藤井聡太竜王(19歳)は別格の存在ですが、いよいよその同世代が台頭しつつあるようです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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