12月3日。東京・将棋会館においてお~いお茶杯第63期王位戦予選決勝▲日浦市郎八段(55歳)-△伊藤匠四段(19歳)戦がおこなわれました。

 日浦八段先手で矢倉模様の立ち上がり。伊藤四段が急戦をにおわせると、あとは定跡形をはずれた戦いとなりました。

 日浦八段の攻めに応じながら、伊藤四段はカウンターを放ち、飛車を手にして優位に立ちます。

 最後は伊藤四段が日浦陣を受けなしに追い込む一方、自陣を手堅く受けて負けのない形に。16時41分、72手で伊藤四段の勝ちとなりました。

 伊藤四段は王位戦予選初参加ながら佐藤紳哉七段、先崎学九段、永瀬拓矢王座、門倉啓太五段、そして日浦八段を連覇。一気に初の王位リーグ入りを決めました。

 今期リーグ参加者12人のうち、現在は6人まで決まっています。

 藤井聡太王位(19歳)への挑戦権を争う熾烈なリーグは、通例であれば来年2月ごろに開幕します。

史上初、十代同士タイトル戦の可能性は?

 もし伊藤四段がリーグを勝ち抜き、藤井王位への挑戦権を獲得すると、どちらも19歳。史上初、十代同士のタイトル戦が実現します。

 十代のうちにタイトルを獲得し、さらに防衛戦までたたかった棋士は、藤井王位以前には屋敷伸之棋聖(当時)しかいません。

 1990年度後期棋聖戦五番勝負は屋敷棋聖(当時18歳、現九段)に森下卓六段(当時24歳、現九段)が挑戦するという、大変フレッシュなシリーズでした。

 もしこのとき、挑戦者決定戦で森下六段に郷田真隆四段(当時19歳、現九段)が勝っていれば、史上初の十代同士のタイトル戦が実現していました。

 要するに十代同士のタイトル戦が実現する可能性は、数十年に一度あるかどうか、ということになります。

 現在の最年少棋士は伊藤四段(2002年10月生)。それに次ぐ若い棋士は藤井王位(同年7月生)です。

 藤井王位はデビューしてこれまで5年以上経ちます。実はその間まだ、公式戦で歳下の相手と対戦したことがありません。もし初めて対戦する歳下の相手が伊藤四段で、それもタイトルの舞台となれば、なんとも劇的です。

 伊藤四段がまだリーグに入ったばかりで挑戦権獲得の話までするのは気が早いかもしれません。しかし藤井現王位のデビュー以来、これまでの常識では考えられないようなことが起こり続けている将棋界。「あるいはもしかして・・・?」という期待も起こります。

 王位戦はこれまで藤井王位をはじめ、多くの若手の登竜門となってきました。新人王戦で優勝するなど、すでに大器の片鱗を見せつつある伊藤四段。はたして強豪ひしめく王位リーグで、どれだけの健闘を見せるでしょうか。