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永瀬拓矢王座(29)防衛か? 木村一基九段(48)追いつくか? 10月5日、王座戦五番勝負第4局

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 10月5日。兵庫県神戸市・ホテルオークラ神戸において第69期王座戦五番勝負第4局▲木村一基九段(48歳)-△永瀬拓矢王座(29歳)戦がおこなわれます。棋譜は公式ページをご覧ください。

 第4局は永瀬王座の勝ち。2勝目をあげ、防衛まであと1勝と迫りました。

 永瀬王座は今期防衛すると3連覇。「名誉王座」資格を得る条件は連続5期、または通算10期ですので、その高みにまた一つ近づくことになります。

 ちなみに名誉王座は現在までに中原誠、羽生善治の2人しかいません。

 今期で69期目を数え、長い歴史を誇る王座戦。1953年度から82年度までは非タイトル戦で、中原名誉王座は10回優勝しています。83年度からはタイトル戦となり、中原名誉王座はそれからも6期王座を獲得しました。

 羽生現九段(60歳から永世王座を名乗る資格あり)は1993年度に王座を獲得すると、なんとそこから19連覇! 2011年度にいったん失冠したものの、翌12年度に復位し、そこからまた5連覇で通算24期。羽生九段の数ある記録的な戦績の中でも、王座戦での活躍はすさまじいものでした。

 昭和では中原、平成では羽生が君臨する時代が長かったため、王座のタイトルを2期以上獲得している棋士は、その両者以外には永瀬現王座しかいません。

 もし永瀬王座がここから王座5連覇で「名誉王座」となれば、将棋界では令和に入って初の永世称号資格取得者となる可能性があります。

 木村九段は「カド番」に追い込まれました。厳しい状況に立たされたのは間違い有りません。しかし「百折不撓」を座右の銘とする木村九段。ここから逆境を跳ね返し、王位に続いて2期目のタイトル獲得を期待するファンも多いことでしょう。

 両者の通算対戦成績は木村4勝、永瀬5勝です。

 永瀬王座の今年度成績は16勝10敗(勝率0.615)です。

 木村九段の今年度成績は15勝12敗(勝率0.556)です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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