9月30日10時。大阪・関西将棋会館において第80期B級1組順位戦6回戦▲横山泰明七段(3勝2敗)-△藤井聡太三冠(4勝1敗)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は深夜0時19分に終局。結果は106手で藤井三冠の勝ちとなりました。

 リーグ成績は藤井三冠5勝1敗、横山七段3勝3敗となりました。史上最年少名人候補の藤井三冠はA級昇級に向け、また一歩前へと進みました。

 藤井三冠は10月19日、7回戦で郷田真隆九段(3勝3敗)と対戦します。

 藤井三冠の順位戦通算成績は44勝2敗(勝率0.957)です。デビュー以来のペースとして史上空前であり、おそらくは絶後でしょう。

 2021年度もちょうど半分が終わったところで、藤井三冠の今年度成績は30勝6敗(0.833)となりました。

藤井三冠、横山七段の粘りを振り切る

 横山七段先手で戦型は相掛かり。角交換のあと、藤井三冠は横山七段の飛車を追いながら自陣に角を据えました。

 夕食休憩後の44手目。藤井三冠は攻めの桂を跳ねて動いていきます。対して横山七段もまた自陣に角を打ちました。決断の角打ちです。しかし藤井三冠がうまくとがめたようで、形勢は次第に藤井三冠がペースをにぎっていきました。

 横山七段は苦しくなったあと、じっと辛抱を続けます。対局開始から終了まで、ほとんど席を離れることなく、盤の前に座って考え続けていました。

 68手目、藤井三冠は自分の角を切って相手の銀と刺し違えたあと、その銀を横山陣に打ち込んで、相手の角を攻めます。

 藤井三冠は以前、中盤で惜しみなく時間を使い、終盤ではほとんど時間が残ってない場合がよくありました。しかし最近では比較的時間に余裕を残して終盤を迎える場合が多くなったようにも見られます。

 本局では優位に立った上で、慎重に時間を使い、念には念を入れて進めていったようにも見えました。また一方で、横山七段の粘りに、さすがの藤井三冠も手を焼いている雰囲気もありました。

 コンピュータ将棋ソフトが示す形勢評価は藤井勝勢。しかし盤上だけを見ると、横山七段がわるいながらも最善を尽くし、勝負のアヤがまだ残されている終盤にも見えます。

 日付が変わり、横山七段は持ち時間6時間を使い切って一分将棋に。藤井三冠も残り10分を切りました。

 横山玉は中央5筋から端9筋にまで逃げます。藤井三冠は着実な数の攻めで、横山玉を受けなしに追い込みました。

 106手目、藤井三冠が桂を打って詰めろをかけた手を見て、横山七段は投了。熱戦に終止符が打たれました。

 かくして藤井三冠はまたA級昇級に近づきました。しかし長いリーグ戦はまだ半分が終わったばかりです。

 B級1組は総当り制。藤井三冠は昇級を争う佐々木勇気七段(6勝0敗)、千田翔太七段(5勝1敗)との対戦を残しています。B級1組終盤の対戦順を見ると、様々なドラマが起こりそうな気配も感じられます。

 今年度前半が終わり、藤井三冠は公式戦30勝目をあげました。

 自己最多勝数は2017年度の61勝。もしかすると、その記録を更新する可能性もあるのかもしれません。