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豊島将之竜王(31)棋王戦ベスト8進出! 菅井竜也八段(29)に勝利

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月27日。大阪・関西将棋会館において第47期棋王戦挑戦者決定トーナメント3回戦▲菅井竜也八段(29歳)-△豊島将之竜王(31歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は16時58分に終局。結果は126手で豊島竜王の勝ちとなりました。豊島竜王はこれでベスト8に進出。次戦で前期挑戦者の糸谷哲郎八段と対戦します。

 豊島竜王と菅井八段の通算対戦成績は、豊島7勝、菅井9勝となりました。

豊島竜王、菅井穴熊を一気攻略

 両者の対戦で思い出されるのは2018年の王位戦七番勝負。3年前のちょうど本日が最終第7局の2日目で、豊島挑戦者が菅井王位に勝って、豊島新王位が誕生しました。

 本局は振り駒の結果、先手は菅井八段。まずはどこに飛車を振るのかが注目されるところ、菅井八段は5筋位取り中飛車の作戦を選びました。

 豊島竜王が穴熊の作戦を明示すると、菅井八段もすぐに追随。戦型は相穴熊となりました。

 中盤、中央での押し引きのあと、戦端が開かれ、飛角交換に。菅井八段は相手陣に龍(成飛車)を作り、豊島竜王は自陣に馬(成角)を引きつけます。駒割だけを見れば互角のようにも見えますが、優位に立っていたのは豊島竜王でした。

 豊島竜王のよさはやがて、現実の駒得につながってはっきりしていきます。豊島竜王は菅井八段からのうるさい攻めをいったん受け止めた後、手番をにぎって攻めに転じ、あっという間に菅井穴熊を攻略。一手の余裕をいかして、一気呵成に菅井玉を受けなしに追い込みました。

 豊島竜王はこれでベスト8に進出。次戦でライバルの糸谷八段と当たります。

 棋王戦での対局の前にも両者は9月30日、王将戦リーグでもぶつかります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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