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藤井聡太三冠(19)過去対戦なしの横山泰明七段(40)とぶつかる 9月30日、B級1組6回戦一斉対局

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月30日。東京、大阪の将棋会館にわかれて第80期B級1組6回戦一斉対局がおこなわれます。

 注目の藤井聡太三冠は横山泰明七段と対戦します。

 全6局、それぞれの状況を見てみましょう。

▲佐々木勇気七段(5勝0敗)-△木村一基九段(1勝3敗)

 B級1組13人のメンバーの中で、ここまでただ一人全勝の佐々木七段。「鬼のすみか」を1期で抜けて、A級に昇級する可能性も見えてきました。

 対するはA級5期、B級1組12期の実績をもつ木村九段。今期はここまで1勝3敗と黒星先行中です。前期もやはり1勝3敗という序盤でした。しかしそこから白星を伸ばし、終盤では昇級争いに加わっています。最終的には8勝4敗で次点でした。

 両者の過去の対戦成績は木村2勝、佐々木3勝。順位戦では初めての対戦となります。

 両者はABEMAトーナメントではチームメイトでした。

 ABEMAトーナメントで準優勝の実績を残したあと、両者は順位戦で戦います。

▲千田翔太七段(4勝1敗)-△屋敷伸之九段(3勝2敗)

 B級1組3期目の千田七段。1期目、2期目はいずれも序盤で好スタートを切り、そこから昇級には届かず、という展開でした。今期で「3期目の正直」となるでしょうか。

 屋敷九段はA級6期、B級1組8期。今期昇級を果たせば「50歳A級」となります。

 両者の過去の対戦成績は屋敷1勝、千田4勝。初手合となった2年前のB級1組7回戦では屋敷九段が勝っています。

△藤井聡太三冠(4勝1敗)-▲横山泰明七段(3勝2敗)

 B級1組初参加同士ながら、両者の経歴は対照的です。

 藤井三冠は今期が順位戦参加5期目。順位戦通算43勝2敗(勝率0.956)という信じられないようなペースで勝ち進んでいます。

 このまま崩れず進めば、加藤一二三九段、谷川浩司九段に続いて、史上3人目の十代A級となります。

 横山七段はここまでC級2組=12期、C級1組=2期、B級2組=4期。19期目にしてついにB級1組まで上がってきました。順位戦通算成績は133勝52敗(勝率0.719)です。

 A級未経験の二十代の棋士はいずれも7割を超えています。横山七段のように、順位戦19期目にしてなおその数字というのは、安定した実力ぶりを十分に示しています。もし四十代で初A級となれば、こちらもまた大変な快挙です。

 両者はこれまで対局がなく、今回が初手合となります。

△郷田真隆九段(3勝2敗)-▲三浦弘行九段(2勝2敗)

 郷田九段はA級13期、B級1組11期。

 三浦九段はA級19期、B級1組3期。

 実績十分の両者は今期、2敗同士の対戦となります。

 過去の対戦成績は郷田18勝、三浦14勝と拮抗しています。

▲稲葉陽八段(3勝2敗)-△近藤誠也七段(1勝3敗)

 稲葉八段はA級5期、B級1組2期。今期は2回戦で藤井三冠の順位戦連勝記録を22で止めています。

 近藤七段はB級1組2期目。ここまで大変なスピードで出世を果たしています。

 両者はこれまで対局がなく、今回が初手合となります。 

△久保利明九段(0勝4敗)-▲松尾歩八段(0勝4敗)

 久保九段はA級13期、B級1組8期。

 松尾八段はB級1組の主(ぬし)的な存在で、全メンバー中で最も長く13期在籍しています。

 両者ともに今期はここまで4戦全敗。当面、残留を目指しての深刻な戦いとなります。

 B級1組は長い間、降級枠が2でした。それが前期からは3となり、残留争いもさらに厳しさを増しています。

 両者の過去の対戦成績は久保7勝、松尾6勝で拮抗しています。前期B級1組では久保九段が勝っています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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