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偉大な兄弟子・渡辺明王将(37)に挑戦できるか? 近藤誠也七段(25)2度目の王将リーグ入り決める

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 8月12日。東京・将棋会館において第71期ALSOK杯王将戦二次予選決勝▲近藤誠也七段(25歳)-△佐藤天彦九段(33歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は17時49分に終局。結果は131手で近藤七段の勝ちとなりました。近藤七段は2016年以来、2度目のリーグ入りを決めました。

 現在、王将位に君臨するのは渡辺明王将(37歳)。渡辺王将と近藤七段は同じ所司和晴七段(59)の門下です。兄弟弟子による七番勝負は実現するでしょうか?

近藤七段、居飛車穴熊で快勝

 両者は過去に1回対戦。それも今回と同じ王将戦二次予選決勝でした。当時の肩書では佐藤名人-近藤五段で、結果は名人が貫禄を示して勝っています。

 本局は序盤の駆け引きの末、後手の佐藤九段が中飛車に振りました。対して近藤七段は左美濃→銀冠→穴熊と組み替えます。

 本格的に駒がぶつかってからの中盤戦。佐藤九段は桂得の戦果を得ます。対して近藤七段は堅陣を頼みに、細い攻めをつなげていきます。形勢は難しいながらも、穴熊の堅さが活きる展開となったようです。

近藤「こちらは勝ちやすさに頼ってたというか・・・」

佐藤「どうしても負けやすい作りではあるけれど」

 両者は感想戦でそう語っていました。

 近藤七段は飛車を捨てる代償に、馬を作りながら銀を取って薄い佐藤玉に迫ります。「堅い、攻めてる、切れない」という居飛車穴熊の勝ちパターンそのままに、近藤七段は優位をはっきりさせました。

 最後は佐藤九段が攻防ともに見込みなしと見て、潔く投了。近藤七段の勝ちとなりました。

 二次予選からまず最初に難関のリーグ入りを決めた近藤七段。今期台風の目となって、偉大な兄弟子に挑戦することはできるでしょうか。

 次の二次予選決勝は8月16日、藤井聡太二冠-稲葉陽八段戦です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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