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天才・藤井聡太王位(18)終盤の逆転で大難敵・豊島将之挑戦者(31)を降す 王位戦七番勝負第2局

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 7月13日・14日。北海道旭川市・花月会館において、お~いお茶第62期王位戦七番勝負第2局▲豊島将之竜王(31歳)-△藤井聡太王位(18歳)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 13日9時に始まった対局は14日18時59分に終局。結果は102手で藤井王位の勝ちとなりました。

 七番勝負はこれで藤井王位1勝、豊島挑戦者1勝のタイになりました。

 第3局は7月21日・22日、兵庫県神戸市・中の坊瑞苑でおこなわれます。

藤井聡太王位「早繰り銀はあまり想定していなくて。少し手探りな感じだったんですけど。序盤でもしかしたら手の組み合わせが少しまずかったかもしれません。(33手目)▲5八金に対してすぐ△7五歩と合わせる手もあるかなと思ったんですが。本譜、少し結果的に△4二玉がマイナスの手になってしまったので、違う手を指すべきだったかと。(40手目△5四角と筋違い角を打ったあと▲6五歩と切り返され)ちょっと歩を突かれて、打った角がはたらく展開が難しくなってしまったので。少し失敗してしまったのかなと思ってました。(42手目の封じ手、検討陣は△7六歩も有力としていたところ、本譜は△6五同角)▲5五角と打たれるラインを消して息長く指せればと思っていたんですけど、ただちょっと本譜(▲2四歩から)シンプルに銀交換されて。まとめ方が難しくなってしまった気がしました。6五の角が中途半端な位置のまま戦いになってしまって、苦しいと思ってました。(70手目)△8八金から△8七飛車成と成り込んで、一応攻め合いの形にはなったんですけど。やっぱり駒が少ないので形勢は依然苦しいと思っていました。本譜△4四銀と受けて、そのあと△5一玉と引いた形が詰めろが続かなければそれで難しいところが出てきたのかな、とは思っていました。(90手目)△7七桂と打って、こちらの玉が詰まない形なので、難しくなったかなとは。タイに戻すことができたのでまた第3局、気持ちを新たにして、せいいっぱい戦いたいと思います」

豊島将之挑戦者「(先手番角換わりから)早繰り銀の予定でした。(藤井王位も早繰り銀で応じて)それもあるかな、という感じで。(1日目終了時点では)ちょっとよくわからなかったですね。(41手目)▲6五歩に対してもいろいろありそうなところなんで。まあちょっとわからなかったです。そんなにわるくはないかな、とは思ったんですけど。(63手目▲6六銀のあたり)いろいろ選択肢があるので、なにかよくできる順があればと思ったんですけどなにか、結局明快な順がわからなくて。▲6六銀に代えて▲(7六)同銀と取る手とか。あとはまあ、△8六歩のとき▲同歩とか。あとはまあ(▲5四銀と)角取らないで▲7九金引とか。まあいろいろ考えたんですけど、まあちょっとよくわからない。全部明快ではないような気がしたので。ちょっとわからなかったですね。途中はちょっと模様がよかったと思うんですけど、ただなにか具体的に手が難しかったという感じですかね。(77手目、早逃げの)▲5九玉に代えて▲7五角(相手玉への王手)とかで行きたかったんですけど。うーん、なんか最後、ちょっと。▲5九玉に代えて▲7五角打ったあとの詰む、詰まないのところで誤算があったので。攻めていっていけるつもりだったのが、先の方のことをちょっと正確に読めてなかったので。(△8九龍の王手に▲6九銀合のあたりは)予定変更になってるんで、ちょっとまずそうな気がしていました。互角ぐらいで勝負する手もちょっとわからなかったので。難しいか、わるいか、どちらかですかね。(第3局は)気持ちを切り替えて、コンディションを整えて、またがんばりたいと思います」

 将棋界のトップを争う両者の通算対戦成績は、豊島挑戦者7勝、藤井王位2勝となりました。

 藤井王位の今年度成績は14勝3敗(勝率0.824)となりました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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