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藤井聡太二冠(18)スペシャリスト丸山忠久九段(50)の一手損角換わりを受けて立つ 叡王戦準決勝開始

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 6月22日10時。東京・シャトーアメーバにおいて第6期叡王戦本戦トーナメント準決勝▲藤井聡太二冠(18歳)-△丸山忠久九段(50歳)戦が始まりました。

 振り駒の結果、「歩」が4枚出て、先手は藤井二冠と決まりました。

 対局開始の一礼のあと、まずはグラスに注がれた緑茶を飲んだ藤井二冠。初手は飛車先の歩を突きました。

 4手目。丸山九段は得意の一手損角換わりに出ます。この戦型のスペシャリストとして知られる丸山九段。昨年はこの戦型で藤井現二冠を降しています。

 藤井二冠も当然この作戦は予想通りでしょう。攻めの銀を手早く繰り出していく「早繰り銀」に出ました。序盤は早いペースで手が進んでいきます。

 対局開始から10分ほど過ぎ、25手目、藤井二冠は3筋の歩を突っかけて動きました。対して丸山九段は腰掛銀から銀矢倉にスイッチし、柔らかく受けます。

 10時15分。31手目、藤井二冠は勢いよく、攻めの銀を五段目へと進めていきました。

 叡王戦本戦の持ち時間は各3時間。昼食休憩をはさんで、通例では夕方頃に決着がつきます。

 本局の勝者は挑戦者決定戦に進出します。

  豊島将之叡王(31歳)への挑戦権を争う第6期叡王戦本戦トーナメントは、いよいよ大詰めの段階を迎えました。

 左側の山を勝ち抜き、一足早く挑決進出を決めたのは斎藤慎太郎八段(28歳)です。斎藤八段は1回戦から順に三枚堂達也七段、渡辺明名人、佐々木大地五段を連破しました。

 藤井二冠の今年度成績は8勝2敗(勝率0.800)です。

 4日前の18日。藤井二冠は棋聖戦五番勝負第2局で渡辺明名人(37歳)に勝っています。

 ハードスケジュールの中、相変わらず勝ちまくっている藤井二冠。叡王戦で三冠チャレンジとなるでしょうか。

 丸山九段の今年度成績は5勝4敗(勝率0.556)です。羽生善治九段(50歳)らを中心とする「黄金世代」の一角を占める丸山九段。もし同世代に先駆けて五十代でのタイトル戦登場となれば、大変な快挙です。

 本局の中継が始まる前、ABEMAでは前期竜王戦本戦における両者の対戦が放映されていました。

 昨年、千日手指し直しの末に丸山九段に敗れ、がっくりと肩を落としていた藤井現二冠。本局でリベンジなるでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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