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「自然な気持ちで指すことができたのかなと思います」五番勝負開幕戦を制した藤井聡太棋聖コメント

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

藤井聡太棋聖「途中まで、2月の朝日杯(準決勝)と同じ進行で。△8二香(の次、渡辺挑戦者の37手目)▲1六飛車からは違う展開になったんですけど。▲1六飛車も難解・・・というか難しい変化なのかな、というイメージは持っていました。(45手目▲8四香の飛車取りに本譜は駒損をいとわずに△8三銀と上がった)△8三歩と受けると▲1二飛車成と成り込まれるような展開で。うーん、そうですね。飛車のはたらきに差がついてしまうので。駒損ですけど(歩を打つ代わりに銀を出て)飛車のはたらきを重視する必要があるのかなとは思っていました。(57手目▲8三香の飛車取りに対して、39分考え、飛車取りを受けずに角筋を通して△3四歩と突いた)△8二歩と受けると▲7五銀から局面が落ち着いたときに、やはり飛車のはたらきが弱い・・・のとやっぱり、そうですね、8三歩型になってしまうとなかなか先手玉に迫る形がないのかな、というふうに思いました。本譜、△3四歩だと、飛車を取られる展開には進みやすいので、ちょっとそのとき、どうかわからなかったですけど。ただ、こちらの2二角が使えてないところで、それがさばけるのも主張になるので、難しいのかな、というふうに思いました。(60手目、やはり飛車取りを受けずに△8八歩と相手陣に打って強く攻めた)そうですね、△8二歩と受けるとやはり▲7五銀で、先ほど(2手前に)単に△8二歩と受けた変化とあまり違いがないのかと思ったので。△8八歩も、うーん、そうですね。成立するかどうかはきわどいのかなと思ったんですけど、展開としては、そうやってやっていく手もあるのかなと思いました。(66手目)△3三桂▲5三桂成と(王手を)されてからこちらの玉がかなり危険な形が続いていたんですけど。ただ(82手目)△4五桂と跳ねて、なんとかそれが解消されたので、そのあたりで少し抜け出せたのかなと思いました。(五番勝負の第1局を勝って)自分としては、あまり防衛戦というのは意識せずに(挑戦者の立場だった)昨年と同じ様に臨みたいと思っていましたけど。今日に関してはそういった自然な気持ちで指すことができたのかなと思います。次局(第2局)以降は先後もあらかじめ決まっているので、しっかり、いい内容にできるように準備していきたいなと思っています」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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