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「藤井二冠は国民的なスーパースター」藤井聡太王位への挑戦を決めた豊島将之竜王インタビュー全文

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

豊島将之竜王「(挑戦者決定戦は羽生九段先手で相矢倉となり)先手から▲1六歩と端を突かれたタイミングであったり、▲2四歩と突き捨てられたタイミングであったり、序盤から工夫を凝らして指してこられて。それに対してどうやって対応していくかというところで、苦心しながら指していました。そうですね、基本的にずっと受ける展開だったんですけど、途中で(△1七飛成と)龍を作って、王様を上部に逃げ出していくような展開になって、そこでいけるかな、というふうに思いました。(羽生九段との対局で意識するようなことは?)普段通りですけど、強敵なので、自分のよさがでる形にして思いきりぶつかっていこうというような感じでした。(藤井聡太王位の印象は)全体的に非常に精度が高くって。最近の将棋だと、ずっと優勢を維持したまま勝つっていうような将棋が多くて。非常に強敵という印象です。(どのような七番勝負にしたいか?)強敵ですけど、自分の力が出るような展開にできるように、しっかり準備をして。なんとかいい勝負ができたらと思います。(2017年に藤井王位と初対戦、そこから印象は変わった?)将棋のスタイルとかはそこまで大きく変わっているわけではないと思うんですけど。やっぱり年々、全体的な精度が上がって来ていて。どんどん強くなられているというような印象があります。(2日制で今までと違う難しさはある?)2日制は、自分は長い時間でゆっくり考えるのが好きですけど。藤井二冠もやっぱり(持ち時間6時間の)順位戦であったり、そういう長い時間の将棋の方がより精度が高い将棋を指されているっていう印象がありますので。あと、どんどん強くなられているというのもありますし、すごく大変な戦いになるのかな、というふうに思っています。(四強時代、王位戦をどう位置づけて戦う?)そうですね、うーん・・・。いや、まだ決まったばっかりなんで、あんまりそこまで考えてなかったんですけど(笑)。うーん・・・。そうですね、自分がいまの段階でどれぐらいやれるか。非常に強い相手と番勝負指して。まあどうなるかっていうところで・・・。でもせいいっぱい指すだけなので。自分なりにせいいっぱいやって、どれぐらい指せるか、確認したいというか。どうなるかやってみたいという感じです。(防衛戦となる叡王戦五番勝負も並行しておこなわれる)日程は詰まって大変なところもあると思いますけど。竜王戦(七番勝負)が終わってからでも対局が少なくて。それで難しいところがあったので。たくさん対局ができるのはうれしいことですし。体力に気をつけつつ、がんばっていきたいと思います。(いまの気持ちとしては楽しみの方が大きい?)いつもそうですけど、不安も多少ありますけど、指してみて楽しみの方が大きいというか。いつのタイトル戦もだいたいそんな感じで指してますけど。今回もそういう感じです。(愛知県出身の二冠同士の対戦になる)藤井二冠は本当になんというか、国民的なスーパースターだと思いますけど。まあでもそうですね。愛知県同士ということで、地元の方も喜んでくださると思いますし。(以前に棋聖、王位、名人の三冠になった。今回は竜王、叡王を持ち、二度目の三冠を目指す戦いとなる)そうですね、うーん・・・。あんまりそこまでは考えてなかったんですけど。あんまり三冠とかは考えてなくて。(昨年2020年)名人戦と叡王戦、並行していたときもそうですけど、二つタイトル戦指すと大変ではありますけど、やっぱり二つあった方が、期待値的にもけっこう、大変ではあっても、ちょっと上がるかなという感じで。タイトル持ち続けたいとか、タイトル戦出続けたいという気持ちでやってるので。それで挑戦できたので、少し前に進めたかなと思いますけど。(第1局は名古屋市の能楽堂)地元の方に普段からお世話になっているので、愛知県での対局ということで、よい将棋になるように、開幕に向けてがんばっていきたいと思います。(王位は2年前に失冠して、改めての挑戦となる)王位戦、失冠してしまった期は、ちょっとうまく指せない将棋も多かったので、そういうところを改善して、なんとかいい結果が出せるようにやっていきたいと思います」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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