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王座戦本戦トーナメントいよいよ開幕! 藤井聡太二冠(18)は5月6日、深浦康市九段(49)と対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 永瀬拓矢王座(28歳)への挑戦権を争う第69期王座戦・本戦トーナメントが開幕します。

 注目の藤井聡太王位・棋聖(18歳)は5月6日、1回戦で深浦康市九段(49)と対戦します。

 深浦九段は王位3期などの実績を誇る名棋士。王座戦本戦も常連です。これまで五番勝負への登場はありませんが、1995年、2005年、2006年、2010年と4回ほど挑戦者決定戦まで進んだ実績があります。

 2017年、深浦九段と藤井四段(当時)は叡王戦本戦1回戦で初めて対戦します。このとき、藤井四段は逆転負けを喫しました。

 2018年。藤井七段(当時)は王座戦参加1期目で一次予選、二次予選を勝ち上がり本戦進出。その2回戦で深浦九段と対戦しています。

 深浦九段先手で、角換わりではなく角筋を止める序盤。互いに雁木に組み合いました。藤井二冠は珍しく右玉に組んで相手の動きを待ちます。

 進んで両者ともに相手陣にと金を作り合う展開に。藤井七段のと金が深浦玉の近い分、藤井七段が優位に立ちました。

 最後は一手を争う終盤戦となりますが、藤井七段がいつもながらに鮮やかに決め、120手で勝利を収めました。

 以上、深浦九段と藤井現二冠の公式戦対戦成績は1勝1敗です。

 藤井七段は2018年、準決勝で斎藤慎太郎七段(現八段)に敗れ、16歳でのタイトル挑戦はなりませんでした。

 前期ベスト4のため、2019年はシード。その1回戦では深浦九段の愛弟子である佐々木大地五段に敗れています。

 師匠が敗れた相手に弟子が勝つ。「恩返し」とは本来、そうした状況で使われるべき言葉かもしれません。

 2020年、藤井七段は二次予選決勝で大橋貴洸六段に敗れました。

 ちなみに佐々木五段、大橋六段は、藤井二冠が負け越している数少ない棋士の一人です。

 そして今年2021年、藤井二冠はタイトルを保持しているため、本戦シードとなりました。

 渡辺明名人、豊島将之竜王、そして藤井二冠をはじめ、16人の強者が揃ったトーナメント。熾烈な戦いを勝ち抜いて永瀬王座に挑戦するのは、はたして誰でしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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