Yahoo!ニュース

王位戦リーグ白組混戦!佐々木大地五段(25)が永瀬拓矢王座(28)を止め3勝1敗で並ぶ

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月27日。東京・将棋会館において、お~いお茶杯第62期王位戦・挑戦者決定リーグ白組▲佐々木大地五段(25歳)-△永瀬拓矢王座(28歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は19時10分に終局。結果は111手で佐々木五段の勝ちとなりました。

 佐々木五段は永瀬王座の全勝を止め、両者のリーグ成績はともに3勝1敗に。同成績の羽生善治九段を加え、3者が白組優勝の可能性を残しています。

佐々木五段、タイトル保持者を相手に堂々の勝利

 永瀬王座は現棋界「四強」の一角。棋聖戦では4月30日には渡辺明名人(37歳)と挑戦者決定戦を戦います。

 永瀬王座は王位戦でも挑戦権獲得の本命格。リーグ白組では前局、羽生善治九段との無敗決戦に勝ちました。

 今年度も将棋界の主役の一人になるであろう永瀬王座。藤井聡太王位・棋聖(18歳)と2つのタイトル戦を続けて戦う可能性も十分にあります。

 一方の佐々木五段は、いつブレイクしてもおかしくない若手実力者。藤井棋聖との対戦成績は2勝1敗で、藤井棋聖に勝ち越している数少ない棋士の一人です。王位戦では4度予選を勝ち上がり、今期は4期目の参加となりました。

 永瀬王座と佐々木五段は前期リーグ紅組で対戦し、永瀬現王座(当時叡王・王座)が勝っています。

 結果的にはその星一つが両者の明暗を分け、5勝0敗で永瀬優勝、3勝2敗で佐々木陥落となりました。

 本局は佐々木五段先手で、戦型は相掛かりとなりました。

 永瀬王座は飛車先の歩を交換したあと、攻めの銀を前線に繰り出していきます。対して佐々木五段はその攻めの銀を追い返し、序盤で作戦勝ちを収めたようです。

 駒がぶつかってからは永瀬王座が地力を発揮。形勢不明の中盤戦となりました。

 83手目。佐々木五段は永瀬陣に角を打ち込みます。これが飛車取り。永瀬王座は受けを続けていったん自陣の飛車を逃げるか、それとも佐々木陣に飛車を打ち込んで攻め合うか悩ましいところ。永瀬王座は20分考えて飛車を逃げました。

 佐々木五段は2枚の角で攻めが続く形を作り、リードを奪いました。以後は少しずつ差を広げていきます。終盤では自玉に迫る桂を馬(成角)ではずして盤石の態勢を築きました。

 永瀬王座は入玉の可能性を見せながらがんばります。しかし駒損がひどく、さすがの永瀬王座をもってしても粘ることはできませんでした。

 最後は佐々木五段が押し切って、111手で永瀬王座投了。白組はこれで3勝1敗で三者が並ぶ混戦となり、最終5回戦を迎えることになりました。

 白組最終戦の組み合わせは以下の通りです。(▲=先手、△=後手)

△羽生 善治九段(3勝1敗)-▲佐々木大地五段(3勝1敗)

▲永瀬 拓矢王座(3勝1敗)-△近藤 誠也七段(2勝2敗)

▲池永 天志五段(1勝3敗)-△長谷部浩平四段(0勝4敗)

 羽生九段-佐々木五段戦は勝った方が優勝の可能性を残します。永瀬王座は近藤七段に勝てば羽生-佐々木戦の勝者と4勝1敗で並び、プレーオフを戦うことになります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

松本博文の最近の記事