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いったい誰が止められるのか? 藤井聡太二冠(18)竜王R戦5期連続優勝&R戦24連勝&公式戦19連勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月16日10時。東京・将棋会館において第34期竜王戦2組ランキング戦決勝▲藤井聡太二冠(18歳)-△八代弥七段(27歳)戦がおこなわれました。

 藤井二冠先手で10時対局開始。戦型は相矢倉となりました。

 後手の八代七段が穴熊の堅陣に組み替えたのに対し、藤井二冠はバランス重視の開き矢倉の構え。仕掛けて駒がぶつかったところでは、すでに藤井二冠がわずかにリードを奪っていました。

 藤井二冠は中終盤で少しずつ差を広げ、八代陣を攻略します。八代七段も手段を尽くして食い下がりますが、藤井二冠はほぼ完璧に近い手順の連続。こうなってはいったい、誰が勝てるのでしょうか。

 最後は八代玉を鮮やかに即詰みに討ち取り、22時23分、107手で藤井二冠の勝ちとなりました。

 藤井二冠はこれで2組ランキング戦優勝です。

終局後コメント(追記)

藤井二冠「穴熊にこられる構想が見えていたので、こちらの玉が薄い形で戦いが起こってしまったので・・・。そうですね、少し自信がない局面が続いているような気がしました。(終盤の93手目)▲4五桂と跳ねたあたりでこちらの攻めに勢いが出てきたかなと思いました。(2組)ランキング戦、優勝できたことはうれしいですけど、やっぱり決勝トーナメントで結果を出さなければいけないと思っているので、またそちらに全力を尽くしていきたいと思います」

八代七段「序盤は類型で見たことがあったので、やってみたい形の一つとしてとらえていたんですけど・・・。穴熊組み上がったあとはちょっと、どんな形で戦いが起こるか手探り状態だったんですけど。うまく戦機をとらえられてしまったかなという感じがしました。終わったばっかりでまだなにも考えてないんですけど、本戦の方もまた新たに気持ちを切り替えてがんばりたいなと思います」

藤井二冠、記録ラッシュで本戦へ

 藤井聡太二冠はこれで前人未到の5期連続ランキング戦優勝を果たしました。

 従来の将棋界の常識では考えられないような、恐るべき記録というよりありません。

 またデビュー以来続くランキング戦の連勝記録は24に伸びました。

 また2020年度から続く連勝記録は19連勝に伸びました。

 19連勝は歴代単独8位の記録です。

 史上1位は藤井四段(当時)がデビュー以来無敗で達成した29連勝。観戦者にとってはそろそろ、大記録更新への期待が高まり始める段階かもしれません。

 2組優勝の藤井二冠、2位の八代七段は本戦に進み、豊島将之竜王(30歳)への挑戦権を争います。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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