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3連勝・羽生善治九段(50)2連勝・永瀬拓矢王座(28)王位リーグ無敗同士、天王山の一戦始まる

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月14日10時。東京・将棋会館において、お~いお茶杯第62期王位戦・挑戦者決定リーグ白組▲羽生善治九段(50歳)-△永瀬拓矢王座(28歳)戦が始まりました。

 先手・羽生九段、後手永瀬王座ともに飛車先の歩を前に進め、戦型は相掛かりとなりました。

 32手目、永瀬王座は端9筋から仕掛けていきました。10時40分を過ぎた現在は羽生九段が次の手を考慮中です。

 今期リーグ、羽生九段は3連勝で走っています。

 一方の永瀬王座は2連勝。両者無敗同士での決戦です。

 多くのファンから変わらずタイトル通算100期を期待され続けている羽生九段。一方で現棋界「四強」の一角を占め、今期王位戦でも挑戦本命格の永瀬王座。今期白組の天王山の一局といえるでしょう。

 もし羽生九段が勝って4勝目をあげれば、白組プレーオフ以上が確定します。

 紅組は木村一基九段(前王位)、豊島将之竜王、澤田真吾七段の3人が3勝1敗で並ぶ混戦となっています。

 最終的には白組と紅組の優勝者が挑戦者決定戦に進出し、藤井聡太王位(18歳)への挑戦権を争います。

 羽生九段と永瀬王座の過去の対戦成績は、羽生4勝、永瀬9勝です。

 2016年の棋聖戦五番勝負では羽生棋聖(当時)が永瀬挑戦者を3勝2敗1千日手で退けました。しかし他の対局では永瀬王座の方が分がよく、勝ち越しています。羽生九段が負け越している棋士は数えるほどしかおらず、その中でも5番以上負け越している棋士は永瀬王座しかいません。

 直近では両者は竜王戦1組ランキング戦で当たり、永瀬王座が勝っています。

 羽生九段にとって、本局は2021年度の2局目。1局目の丸山忠久九段戦(竜王戦1組出場者決定戦)は、大変な辛抱を実らせての逆転勝利でした。

 先日、A級順位戦のトーナメント表が発表されました。羽生九段はA級29期目(うち9期は名人)。一方の永瀬王座は初参加の1期目。両者はこちらでも「ラス前」8回戦で対戦します。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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