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勝ち続けて年度最終戦を迎えた藤井聡太二冠(18)竜王戦2組準決勝で強敵・松尾歩八段(40)と対戦開始

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 3月23日10時。東京・将棋会館において竜王戦2組準決勝▲藤井聡太二冠(18歳)-△松尾歩八段(40歳)戦が始まりました。

 2020年度も勝ちまくり、信じられないような多くの記録を作った藤井二冠。本局は年度最終戦で、勝てば公式戦17連勝達成です。

 藤井二冠は竜王ランキング戦では22連勝中です。これら快進撃はどこまで続いていくのか。ストッパーとして現れた松尾八段はもちろん、大変な強敵です。

 勝てば1組昇級、および本戦進出が決まる大きな一番。両対局者は早めに特別対局室に姿を見せ、20分以上前にそれぞれの席に着きました。

 駒を並べ終えたあとは、振り駒がおこなわれます。藤井二冠の「振り歩先」で、「歩」が3枚、「と」が2枚出て、藤井二冠の先手と決まりました。

 定刻10時、対局開始。藤井二冠は2筋の歩を手にして、初手は飛車先の歩を伸ばしました。対して松尾八段は3筋の歩をひとつ進め、角筋を通します。

 藤井二冠は飛車先の歩を交換したあと15手目、飛車を2筋から3筋へと横へ動かすモーションで歩を取ります。松尾八段の誘導で、戦型は横歩取りに決まりました。

 藤井二冠は飛車を引かず、相手陣近くに置いたまま、桂の活用をはかります。青野照市九段の名を冠した「青野流」という有力な手法です。後手番の松尾八段にはもちろん、十二分の用意があることに間違いはありません。

 22手目。松尾八段は力強く三段目に金を上がって飛車を追いました。これはB級1組順位戦で屋敷伸之九段を相手に見せた進行です。大駒の飛角の利きがよく通り、両陣ともに一触即発の状態。早くも序盤から目が離せない展開となりました。

 時刻はそろそろ11時。現在は24手目、松尾八段が金を寄せて玉形を強化したところまで進んでいます。

 竜王ランキング戦の持ち時間は各5時間(60秒未満切り捨てのストップウォッチ形式)。昼食、夕食休憩をはさんで、通例では夜遅くに終局となります。

 竜王戦では2組で当たった藤井二冠と松尾八段。来期順位戦ではB級1組での対戦が決まっています。

 明日24日には竜王戦2組準決勝もう一方のカード、渡辺明名人-八代弥七段戦がおこなわれます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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