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元王位・豊島将之竜王(30)今期リーグ2回戦で斎藤慎太郎八段(27)に勝利

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 3月6日。大阪・関西将棋会館においてお~いお茶杯第62期王位戦リーグ紅組2回戦▲豊島将之竜王(30歳)-△斎藤慎太郎八段(27歳)戦がおこなわれました。

 斎藤八段は予選で石川優太四段、黒田尭之四段(現五段)、糸谷哲郎八段、都成竜馬六段に勝利。本棋戦参加9期目にして、初のリーグ入りを果たしています。

 元王位の豊島竜王。今期リーグ1回戦では木村一基九段に敗れました。

 斎藤八段もまた、リーグ1回戦で澤田真吾七段に敗れています。

 現代トップクラスの豊島竜王、斎藤八段ともに1回戦で黒星がついてしまうあたり、本リーグの厳しさが端的に示されています。

 短期決戦の全5回戦。もし2敗目を喫してしまうと、リーグ優勝の可能性はかなり低くなります。

 豊島竜王と斎藤八段は過去に5回対戦して、豊島3勝、斎藤2勝。直近では今期A級順位戦で対戦し、豊島竜王が勝っています。

 斎藤八段はA級を8勝1敗で駆け抜け名人挑戦権を獲得。唯一土をつけたのが豊島竜王ということになります。

 豊島竜王先手で両者得意の角換わりに進むかと思われた序盤戦。豊島竜王は角筋を止めて角交換を拒否しました。以下は互いに雁木に組み合っています。

 互いに同型の布陣となったあと、43手目、先手の豊島竜王が仕掛けて戦いが始まりました。

 終盤に入ったところでは、どちらかといえば斎藤八段有望だったようです。しかし豊島竜王が追い込んで形勢は混沌。手に汗握る最終盤となりました。

 96手目。斎藤八段が持ち時間4時間を使い切って一分将棋に入ったあたりで、形勢は逆転したようです。

 残り31分の豊島竜王。16分を使って自玉に詰みなしと読み切り、斎藤玉を受けなしに追い込みました。

 詰将棋を詰ませる能力にかけても、棋界屈指の実力者である斎藤八段。しかし豊島玉に詰みは見当たりません。最後はきわどいながらも豊島玉は逃げ切り、19時36分、119手で豊島竜王の勝ちとなりました。

 リーグ成績はこれで豊島竜王1勝1敗、斎藤八段0勝2敗となりました。

 両者の対戦成績はこれで豊島4勝、斎藤2勝です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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