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渡辺明名人(36)永瀬拓矢王座(28)朝日杯本戦を勝ち進みこれから2回戦で対局

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 1月16日。愛知県・名古屋国際会議場において第14回朝日杯将棋オープン戦、本戦トーナメント1回戦の2局がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 持ち時間は各40分。対局開始は10時。結果は以下の通りです。

渡辺 明名人○-●野月浩貴八段(11時32分終局)

永瀬拓矢王座○-●佐藤紳哉七段(11時58分終局)

 14時からおこなわれる2回戦は渡辺-永瀬戦となりました。

▲野月浩貴八段(47歳)-△渡辺明名人(36歳)戦

 渡辺名人は優勝1回、準優勝3回の実績を誇ります。

 野月八段は今期二次予選で丸山忠久九段、羽生善治九段を破って勝ち上がってきました。

 渡辺-野月戦は野月八段先手で、戦型は相掛かりに。中盤では渡辺名人が機敏に動いてポイントをあげました。

 野月八段は陣形を立て直したあと、決戦に。渡辺名人のリードから野月八段が追い込んで勝敗不明の終盤を迎えました。

 渡辺玉もきわどいところまで追い込まれ、ピンチを迎えます。しかし最後は渡辺名人が突き放し、一手違いの終盤を制しました。

 両者の通算対戦成績は、これで渡辺7勝、野月3勝となりました。

▲永瀬拓矢王座(28歳)-△佐藤紳哉七段(43歳)戦

 永瀬王座は昨年度、本棋戦で準優勝でした。

 佐藤七段は二次予選で佐藤康光九段、松尾歩八段に勝って本戦に進んでいます。

 佐藤七段と永瀬王座はともに安恵照剛八段門下。兄弟弟子の対戦となりました。

 永瀬王座先手で戦型は相掛かりに。永瀬王座は積極的に攻めの銀を前に進めます。対して相手の動きに応じて佐藤七段はカウンターを狙いました。

 中盤のわかれはほぼ互角。そこから次第に永瀬王座の攻めが急所をとらえはじめます。

 69手目。永瀬王座は飛車取りに桂を打ちます。飛車が逃げたあと、すぐに跳ね出した手が王手。その桂はさらに佐藤陣に成りこんで、永瀬王座勝勢となりました。

 最後は佐藤七段が攻防ともに見込みなしと見て投了。弟弟子の勝利となりました。両者の通算対成績は、これで永瀬王座の3連勝です。

タイトルホルダー対決実現

 2回戦は渡辺名人(棋王・王将)-永瀬王座戦となりました。現在両者は王将戦七番勝負で対戦しています。

 過去の対戦成績は渡辺11勝、永瀬3勝です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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