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豊島将之竜王優勢で終盤戦に入る 羽生善治九段は巻き返せるか? 竜王戦七番勝負2日目午後の戦い

松本博文将棋ライター
(記事中の写真撮影・画像作成:筆者)

 11月27日。鹿児島県指宿市・指宿白水館において第33期竜王戦七番勝負第4局▲豊島将之竜王(30歳)-△羽生善治九段(50歳)戦、2日目の対局がおこなわれています。

 2日目午前。豊島竜王は端1筋に歩を成ってと金を作り、ポイントをあげます。

 対してゆっくりとできない羽生九段は、どう手を作っていくか。一直線の斬り合いは、どうも豊島竜王の側に分があるようです。

 羽生九段は端1筋で飛車交換を迫りました。部分的にもあまり見かけない応酬で、羽生九段の勝負手と言っていいのかもしれません。

 豊島竜王は次の手を指さず、12時30分、昼食休憩に入りました。

 13時30分、再開。それからもう少し時間をおいて、豊島竜王は飛車交換に応じました。

 75手目。豊島竜王は6筋中段に角を打ちます。これが攻防に利く位置。前日、52手目に羽生九段はこの位置に角を出ました。本局はこのラインが急所となったようです。

 豊島竜王が香得の実利をあげる間、羽生九段はねらわれている二段目の金を四段目まで押し上げ、反撃の態勢を作りました。

 豊島竜王はスキなく指し進めていきます。

 91手目。豊島竜王は角筋をいかして、羽生玉すぐ近くに香を打ち込みます。なかなか浮かびづらい攻めですが、指されてみればなるほど、これもまた着実な攻めに見えます。

 持ち時間8時間のうち、残りは豊島1時間20分、羽生1時間30分。時間はほぼ互角です。ただし終盤に入ったと思われる現在、盤上の形勢ははっきり、豊島竜王優勢です。

 16時11分頃、羽生九段は中段に飛車を打ちます。意表の勝負手。先日のA級順位戦では佐藤康光九段を相手に、必敗とも思われる局面から逆転を果たしました。本局ではここから巻き返すことはできるでしょうか。

 竜王戦七番勝負2日目は夕食休憩はなく、このまま終局まで指し続けられます。

 ランキング戦1組の定員は16人。すでに発表されている来期トーナメント表のいちばん右端には、今期七番勝負の敗者の名が入ることになります。1回戦で対戦するのは、第4局現地で解説を務めている、佐々木勇気七段です。

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将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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