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B級2組順位戦4連勝中の藤井聡太二冠(18)過去公式戦で敗れている強敵・村山慈明七段(36)と対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 10月21日。東西の将棋会館にわかれてB級2組6回戦一斉対局がおこなわれます。

 注目の▲藤井聡太二冠(4勝0敗)-△村山慈明七段(2勝2敗)戦は大阪・関西将棋会館での対局となります。

 両者は2019年8月、叡王戦七段予選で対戦。結果は村山七段の勝ちでした。

 両者の対戦は本局で2回目となります。

 藤井二冠の今年度成績は22勝6敗(勝率0.786)。

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 将棋史上空前の3年連続8割超えを達成している藤井二冠。今年度も相変わらずのハイアベレージですが、ここ最近は黒星が続いています。直近では王将戦リーグで豊島将之竜王に大逆転で敗れました。

 一方の村山七段は今年度5勝8敗です。

 9月30日、B級2組前節では藤井二冠はお休み(空き番)。村山七段は横山泰明七段と対戦しています。

 B級2組以下は師弟(杉本昌隆八段と藤井聡太二冠など)の対戦は組まれません。

 一方で、同門の兄弟弟子の対戦はおこなわれます。今期B級2組では中田宏樹八段、横山七段、村山七段が桜井昇八段門下。5回戦では横山-村山戦が組まれました。

 両者ともに昇級候補といっていい実力者。横山七段は前々期、前期と2期連続で7勝3敗の好成績をあげながらも、2年連続で次点という不運を味わいました。一方の村山七段は過去にB級1組に2期在籍しています。また2015年にはNHK杯優勝という大きな実績も残しています。

 後手番の横山七段が横歩取りに誘導したのに対して、村山七段は青野流から強気に戦う新構想を見せます。横山七段はと金、村山七段は成桂をつくって、序盤から大乱戦となりました。

 すぐにでも終わってしまうのではないか。そうとも見えた局面から一転して、中盤は互いにスキを見せないよう自陣を整備し合う、息の長い戦いになりました。

 夜戦に入り、20時を過ぎた頃にようやく再び、本格的な戦いが始まります。そして100手を過ぎたあたりでは、次第に村山七段優勢がはっきりしてきました。

 横山七段はもちろん、そう簡単に負ける手段は取りません。これぞ順位戦という、いつ果てるとも知れない攻防が延々と続いていきます。

 170手を過ぎたあたりでは、勝敗不明の形勢となっていました。しかし横山七段に失着が出て、再び村山七段が突き放します。

 終局時刻は0時8分。総手数は201手。最後は村山七段の勝利となりました。その結果、村山七段は2勝2敗、横山七段は今期初黒星で3勝1敗となっています。

 村山七段にとっては前節の横山七段、今節の藤井二冠と続けて全勝者と対戦することになったわけです。

橋本崇載八段、6回戦以後の休場不戦敗決定

 10月2日。橋本崇載八段(37歳)が「一身上の都合」により2020年10月から半年の間、休場することが発表されました。

 橋本八段はB級2組ではここまで2勝3敗。2戦目では藤井二冠に敗れています。

 橋本八段は残る5戦、残念ながら不戦敗となります。

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将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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