「今回の叡王戦で上達するためのヒントをたくさんいただけた」豊島将之新叡王(30)就位式あいさつ全文

(記事中の画像作成:筆者)

 10月20日16時より、東京・ヒューリックホールにおいて第5期叡王戦就位式がおこなわれました。

 豊島将之叡王(30歳)は今期七番勝負を4勝3敗2持将棋1千日手で制して、初の叡王位に就きました。

 式では豊島叡王の師匠である桐山清澄九段(73歳)から祝辞が述べられました。

 豊島叡王のあいさつのあと、第6期叡王戦からは主催者がこれまでのドワンゴ社から交替するという旨の発表がありました。詳細については10月29日、改めて記者会見の場で発表されるそうです。

桐山清澄九段祝辞

豊島叡王、タイトル獲得おめでとう。

3年前に叡王戦が、それまでにない方式での、新しいタイトル戦として誕生しました時は、わたくしも勢い込んで、予選である九段戦をたたかった覚えがあります。

今期は豊島叡王が挑戦者として、永瀬さんとタイトルを争うことになりましたが、対局数の多さや、日程の変更などで「これは厳しい戦いになるだろうな」と感じておりました。

6月の21日から七番勝負が始まりましたが、私も自宅でパソコンを見ながら、対局の進行を見ていましたが、1局目が千日手、2局目が持将棋、3局目がまた持将棋という思わぬ展開となり、大変驚きました。

この3局の指し直しにより、豊島叡王の対局数がさらに増えてしまいました。

4局目から彼が体調を崩さないかという思いで見ておりましたが、このあとも苦しい熱戦でわたくしも心配しておりましたが、9月21日におこなわれました最終局を制し、叡王位を獲得してくれましたときは、ほっとしました。

豊島二冠には、これからも体調に留意していただき、さらに上を目指してほしいと願い、わたくしの祝辞といたします。(会場拍手)

豊島将之叡王あいさつ

皆様、改めましてこんにちは。本日は叡王就位式にお忙しい中ご出席、また、ニコニコ生放送でご視聴いただき、ありがとうございます。主催のドワンゴ様、協賛の生茶様、タカラレーベン様、ローソン様、三国志ヒーローズ様、ロート製薬様、IHI様、またクラウドファンディングにご参加いただきました皆様に厚く御礼申し上げます。

叡王戦の前身であります電王戦に6年前に出場させていただきまして、それが自分の棋士としての転機にもなりました。そういったこともあって、叡王戦でも活躍したいとつねづね思っていましたので、今回挑戦が決まったときは非常にうれしかったですし、先ほど流れた七番勝負のPVでも電王戦の映像がたくさん使われていたので、非常になつかしい気持ちになりました。

叡王戦七番勝負はコロナの影響や、また千日手や持将棋などで、異例ずくめの展開となりまして、コロナ禍の中で対局を受け入れてくださった(第1局)今井荘様、(第2局)西村屋様、(第3・4局)万松寺様、また第8局を、予定にはなかったんですけれども入れさせていただいた陣屋様、本当に感謝しております。

叡王戦七番勝負第7局が終わったところで2勝3敗2持将棋というふうになっていて。並行してたたかっていた名人戦でもそのあたりで名人を失冠してしまいまして「これは叡王戦もダメそうだな」というふうに正直思ったんですが。

それまで3月からずっとタイトル戦、叡王戦、名人戦があるので、それに向けてということで、けっこう直近の対局に向けての準備をずっとやっていたんですけど。まあ、ただ、他のタイトルホルダーの方が非常によい内容の将棋を指している中、自分だけあまりうまく指せていないという状況だったので、普通に直近の対局でよくしようということをやっていたんですけど、なかなかそれでも結果が出なくてうまくいかなかったので、ちょっと長い目で見て、半年とか1年後にうまくいくようなことを、そういうふうな意識でやってみようかなというふうに。まあ第8局までにけっこう時間があったので、そういうふうに考えを変えたところ、気持ちが楽になって。それから第8局、第9局と自分らしく指して、叡王を奪取することができました。

今後は、やはり6年前の電王戦が非常に転機になりましたけど、それと同じように今回の叡王戦がまた転機になったと言えるように。今回の叡王戦で非常に上達するためのヒントをたくさんいただけたと思っていますので、それをいかしてこれから、時間をかけて形にしていけたらというふうに思っています。

これからよりいっそう精進していきます。本日はありがとうございました。(会場拍手)