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「格別の喜びがあります」地元愛知県で開幕する王位戦七番勝負登場の藤井聡太七段(17)インタビュー全文

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2020年6月23日、王位戦挑戦者決定戦を制し、王位挑戦権を獲得した藤井聡太七段(17歳)。対局後、リモートでインタビューがおこなわれました。

――(主催社からの質問)第61期王位戦、藤井七段は予選からの参加でした。予選から白組リーグ、今日の挑戦者決定戦までかなり長い期間、王位戦をたたかっていただいたんですけど、まず戦いを振り返っていただけますでしょうか?

藤井「王位戦は過去2回はリーグに入ることができなかったので、今期はまず王位リーグを目標にやっていたんですけど。・・・王位リーグでは苦しい将棋も多かったんですけど、その中でも粘って指したのが結果につながったのかな、というふうに思っています」

――木村王位について聞かせてください。特に将棋の棋風について、藤井七段は木村王位の棋風、どのように見てらっしゃいますでしょうか?

藤井「木村王位は力強い受けに非常に特長があるというふうに思っています」

――ステイホーム期間中、普段と違って特別な何か、普段できないような勉強をする機会にはなったでしょうか?

藤井「特に今までのやり方を変えたということはないんですけど、時間があった分じっくり取り組めたのかなと思っています」

――(報道陣からの質問)王位戦は七番勝負。持ち時間8時間の2日制という長い持ち時間の対局になります。どういった戦いになるかというのは、印象はどのようにお持ちでしょうか?

藤井「2日制の対局は初めてで、いろいろ慣れないこともあるかなとは思いますけど、持ち時間8時間ということでじっくり考えて指せるというのは楽しみにしています」

――棋聖戦と並行して「ダブルタイトル戦」ということになります。気になっていることとか、ダブルタイトル戦をたたかう上で、どういう印象をお持ちか教えてください。

藤井「今後も対局が続くことになりますけど、どの対局にもしっかり、いい状態で臨めるようにしたいと思っています」

――今回、地方での対局がけっこう多いということで、楽しみにしていることとか、気になっていることとかあれば教えてください。

藤井「今回の七番勝負で初めて訪れる場所もあるかな、というふうに思っていますので、それは非常に楽しみにしています」

――木村王位は今日が47歳の誕生日で、ちょうど今日で30歳差ということになります。この年齢差によるタイトル戦をどのように思っているか、ということと、もし挑戦者として木村王位におっしゃりたいことがあるんだったら教えてください。

藤井「そうですね・・・。やはり年齢に関係なく、指せる、楽しめるというのが将棋のいいところの一つかな、というふうに思っていますので・・・。歳は離れていますけど、もちろん盤上では全力でぶつかっていきたいと思います」

――木村王位は史上最年長での初タイトル。藤井七段は史上最年少での初タイトルを目指している。ある意味、真逆といいますか、象徴的な対決になるのかなと思うんですけど、そのあたりの思いというのはいかがでしょうか?

藤井「木村王位の昨年の王位戦は本当に素晴らしい戦いでしたし、自分としては本当に全力でぶつかっていくということだけかな、というふうに思っています」

――6月に入って対局が再開されてから過密日程で、しかも大勝負ばかり続いてますが、体調管理には気をつけたいというふうにおっしゃってましたけれども、この間特に気をつけてらっしゃること、特にされたことはありますでしょうか?

藤井「やはり対局が続くので、睡眠をしっかりとるようにというふうには思っています」

――地方転戦の今回タイトル戦ですが、第1局はご自身の地元・愛知県の豊橋市ということで、地元で対局できる喜びというのもあろうかと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか?

藤井「王位戦ですと毎年第1局が愛知対局になっていて、地元でそのタイトル戦を指せるというのは、格別の喜びがあります」

――豊橋市の方、瀬戸市の方、愛知県の方、そして全国の方に、笑顔で感想をよろしくお願いいたします。

藤井「ご観戦いただきましてありがとうございます。王位戦第1局が地元の愛知県の対局ということで、そちらでも精一杯指していい将棋をお見せできればというふうに思っています」

(6月23日夜、東京・将棋会館にて)

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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