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木村一基王位(46)1組5位で竜王戦本戦進出決定 愛弟子・高野智史五段(26)との師弟戦実現なるか?

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 6月23日。東京・将棋会館において第33期竜王戦1組出場者決定戦(5位決定戦)▲三浦弘行九段(46歳)-△木村一基王位(46歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は20時10分に終局。結果は80手で木村王位の勝ちとなりました。

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 木村王位は2年連続8回目の決勝トーナメント(本戦)進出を決めました。

木村王位、受けて反撃、快勝

 両者は1973年度(昭和48年度)生まれで同学年。出世は三浦九段の方がかなり先行しました。

 1996年。三浦五段(当時)は七冠を保持していた羽生善治棋聖に挑戦し、棋聖を奪取。22歳で初タイトルを獲得しました。これは現時点において、史上7位の年少記録です。

 翌1997年。23歳で木村四段昇段。

 2019年、木村王位誕生。史上最年長での初タイトル獲得でした。

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 2002年から両者の公式戦対戦が始まり、これまでの成績は三浦九段11勝、木村王位7勝となっています。

 本局は三浦九段先手で角換わりとなりました。

 腰掛銀模様から三浦九段は歩を突き捨て、手早く桂を跳ねて速攻を仕掛けます。

 その攻めを堂々と受けて立つ木村王位。「千駄ヶ谷の受け師」の異名の通り、こうした展開は得意中の得意と言えるかもしれません。

 三浦九段の攻めに丁寧に対応し、桂を取りきってリードを奪いました。さらには三浦九段の攻めの主力である飛車を逆に攻めながら三浦陣奥深くに利く角を打ち、寄せの形を作ります。

 最後は三浦玉を中段まで追い、ほぼ受けなしに追い込んで終局。木村王位の快勝となりました。

 木村王位は1組5位で本戦出場を決めました。木村王位(当時九段)は昨年、挑戦者決定戦三番勝負まで進み、豊島将之名人に1勝2敗で破れています。

大舞台で師弟戦は実現するか?

 さて今期トーナメント表を見ると、左側の山、木村王位から近いところに、愛弟子・高野智史五段の名があります。高野五段は6組で優勝しています。

 もし高野五段が2回勝てば、公式戦における大舞台での師弟戦が実現します。

 木村王位と高野五段の師弟は昨年度、新人王戦記念対局で対戦し、高野五段が勝っています。

 先日は竜王戦3組決勝で杉本昌隆八段-藤井聡太七段戦の師弟戦があり、大きな話題となりました。

https://twitter.com/mtmtlife/status/1274342697289957376

 木村王位-高野五段の師弟戦が実現するかどうかも、竜王戦本戦の大きな見どころでしょう。

 さて明日6月23日は木村王位の誕生日で、47歳になります。そして明日は王位戦挑戦者決定戦。木村王位への挑戦者が決まります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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