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紅組は永瀬拓矢二冠(27)白組は藤井聡太七段(17)が4連勝でトップ 6月13日に王位戦リーグ最終局

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 コロナ禍で延期されていた女流王位戦、および王位戦の対局日程が発表されました。

 里見香奈女流王位(28歳)に加藤桃子女流三段(25歳)が挑戦する第31期女流王位戦五番勝負は6月5日に第1局がおこなわれます。

 木村一基王位(46歳)への挑戦権を争う第61期王位戦。挑戦者決定リーグ最終5回戦の一斉対局は6月13日におこなわれることとなりました。

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 紅組の対戦カードは以下の通りです。(▲=先手、△=後手)

▲永瀬 拓矢二冠(4勝0敗)-△本田 奎五段(1勝3敗)

△豊島将之竜王・名人(3勝1敗)-▲佐々木大地五段(3勝1敗)

▲鈴木 大介九段(1勝3敗)-△佐藤 秀司七段(0勝4敗)

 ここまで4連勝の永瀬二冠は本田五段に勝てば5連勝で優勝。無条件で挑戦者決定戦に進出できます。両者の過去の対戦成績は永瀬二冠の0勝1敗。両者は昨年2019年5月に棋王戦予選で対戦し、本田現五段が勝ちました。その勝利は参加1期目での棋王挑戦という快挙につながっています。

 もし永瀬二冠が本田五段に敗れた場合には、豊島竜王・名人-佐々木五段戦の勝者と4勝1敗で並びます。そうなればプレーオフです。

 豊島-佐々木戦の過去の対戦成績は、豊島3連勝。一昨年2018年の王位戦リーグ白組でも対戦し、豊島八段(当時)の勝ちとなりました。その勝利は王位獲得につながっています。

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 白組の対戦カードは以下の通りです。

△藤井 聡太七段(4勝0敗)-▲阿部健治郎七段(0勝4敗)

▲羽生 善治九段(3勝1敗)-△菅井 竜也八段(3勝1敗)

▲稲葉  陽八段(1勝3敗)-△上村  亘五段(1勝3敗)

 こちらも紅組と同じ構図と言っていいでしょう。

 4連勝の藤井七段は阿部七段に勝てば無条件で挑戦者決定戦進出です。両者の過去の対戦成績は藤井七段の1勝0敗。2018年12月に指された銀河戦で藤井七段が勝っています。

 藤井七段はもし阿部七段に敗れると、羽生九段-菅井八段戦の勝者と4勝1敗で並んで、プレーオフを戦うことになります。

 羽生-菅井の過去の対戦成績は羽生3勝、菅井7勝。2017年の王位戦七番勝負では羽生王位-菅井挑戦者(七段)の立場で戦い、菅井挑戦者が4勝1敗で制しています。羽生九段にはずっとタイトル100期挑戦の期待がかけられていますが、今期王位戦では果たしてどうなるでしょうか。

 紅白両組ともに、もしプレーオフが生じた場合には、リーグ最終戦2日後の6月15日におこなわれます。

 また紅白の優勝者同士がぶつかる挑戦者決定戦は、6月23日におこなわれる予定です。

 永瀬二冠と藤井七段は王位戦だけではなく、棋聖戦でも、挑戦権獲得まであと2勝の位置につけています。

 緊急事態宣言が全面的に解除され、将棋界はこれから対局ラッシュ。ファンにとっても忙しい6月となりそうです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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