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史上最強の両者が激闘!5月24日NHK杯アンコール放映▲羽生五段(18)-△大山15世名人(65)戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 NHK杯将棋トーナメントは現在、コロナ禍の影響により進行がストップし、過去のアーカイブからアンコール放映がおこなわれています。

 5月24日は第38回(1988年度)3回戦▲羽生善治五段(18歳)-△大山康晴15世名人(65歳)戦が放映されます。

「将棋史上の最強者ははたして誰か?」

 現代においてそうした問いがなされる場合、最終的にしぼられる候補は、ほぼ決まっています。実績を見れば明らかで、現代将棋界の記録の多くは、大山15世名人と羽生九段、この両者が1位と2位を占めています。

 長く続いた昭和の時代に君臨し続けた巨人に、新時代の天才少年が挑む。1998年度NHK杯での対戦は、そうした構図のもとにおこなわれました。

 この歴史的な一戦の結果をご存知ない方は、おそらくは、ほぼおられないでしょう。

 ここでは新しいファンの方のために、ささやかにネタバレは避け、この一戦をのぞいての両者の対戦成績をあげておきます。

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 七十に近い棋士が棋界トップ10であるA級を維持し続け、若きタイトルホルダーたちに普通に勝っていたのは、いま振り返っても恐ろしいことです。

 大山15世名人の途方もない記録の一つとして、史上最年長66歳でのタイトル挑戦があげられます。それも挑戦者決定トーナメント(勝者組決勝)では、竜王位に就く直前の羽生善治六段を降しています。

 また大山15世名人は1983年度NHK杯、決勝で加藤一二三前名人(当時)を破って8回目の優勝を果たしています。この時、61歳。全棋士参加棋戦としては史上最年長の優勝でした。

 史上最年長でのタイトル戦番勝負登場と、全棋士参加棋戦優勝。大山15世名人の記録をこの先更新できる可能性が最も高いのは、もちろん羽生九段でしょう。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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