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西山朋佳女王(24)が加藤桃子女流三段(25)に追いつきマイナビ女子オープン五番勝負は最終第5局へ

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 5月18日。東京・将棋会館においてマイナビ女子オープン五番勝負第4局▲西山朋佳女王(24歳)-△加藤桃子女流三段(25歳)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 10時に始まった対局は15時11分に終局。結果は105手で西山女王の勝ちとなりました。

 五番勝負はこれで西山女王2勝、加藤挑戦者2勝となって、フルセットにもつれこむことになりました。

 最終第5局は6月3日、東京・将棋会館でおこなわれます。

西山女王、得意の中飛車で快勝

 これまで3局はいずれも先手番の側が勝利。本局は西山女王が先手です。

 西山女王の作戦は第2局と同様に、5筋位取り中飛車でした。対して加藤挑戦者もまた同様に自玉の周りに金銀4枚をくっつけ、持久戦の構えを見せました。

 西山女王が飛車を四段目に浮いたところで、加藤挑戦者は位を取られている5筋から反発します。対局が始まってわずか15分での気合の仕掛け。第3局に引き続いて、早い時間に戦いが始まりました。

 中段での折衝で飛車交換がおこなわれ、ついで角も交換されます。西山陣は低い構えで、大駒の打ち込みに強い形なのが大きな主張点です。

 西山女王が相手陣に飛車を打ち込んだのに対して、加藤挑戦者は中段に角を打ちました。このあたりから、形勢は少しずつ西山女王に傾いたようです。

 59手目、西山女王が相手陣に角も打ち込んだところで昼食休憩。この時点ではすでに、西山女王が優位に立っていました。

 再開後、加藤挑戦者は自陣飛車を打って粘ります。対して西山女王は歩を垂らしてと金を作り、着実な攻めを進めていきました。

 加藤挑戦者は駒を捨てて西山玉の上部から迫るものの、西山女王の攻めの方が早い。西山女王は自玉の上部をにらむ角を飛車と交換して消し、万全の態勢にした後で、中段に逃げ出した加藤玉を寄せ切りました。

 西山女王2勝、加藤挑戦者2勝で、マイナビ女子オープン五番勝負は棋戦創設以来初めて、最終第5局を迎えることになりました。

 最終局の先後は改めて振り駒によって決められます。ここまで4戦はすべて先手番が勝っています。振り駒もまた、勝負の大きな要素となりそうです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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