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豪腕・西山朋佳女流三冠(24)新人王戦でも旋風を巻き起こせるか? 初戦は長谷部浩平四段(25)に完勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月10日。東京・将棋会館において第51期新人王戦2回戦▲長谷部浩平四段-△西山朋佳女流三冠戦がおこなわれました。10時に始まった対局は16時23分に終局。結果は125手で西山女流三冠の勝ちとなりました。

 西山女流三冠は次戦、青嶋未来五段(25歳)と対戦します。

西山女流三冠、長谷部四段に連勝

 長谷部四段と西山女流三冠は4月1日、竜王戦6組で対戦しています。

 本局もまた西山女流三冠が先手となりました。振り飛車党の西山女流三冠の作戦は、前局は中飛車。本局は初手にさっと三間に飛車を振りました。

 前局では互いに穴熊に組み合う、相穴熊でした。長谷部四段が本局でも穴熊にしたのに対して、西山女流三冠は美濃囲いでした。

 互いに駒組が終わった後、中盤の戦いが始まります。そこでリードを奪ったのは西山女流三冠でした。角銀交換の駒得の成果をあげ、優勢を築きます。

 西山女流三冠は終盤の入口で、じっと歩を垂らし、と金作りを見せます。穴熊に対する着実な攻めです。ただしこの瞬間に相手から猛攻を浴びせられる展開が見えているだけに、正確な速度計算をした上で、王道の勝ち方を選んだということでしょう。

 長谷部四段は穴熊の堅陣を頼みに、飛車も取らせて攻め続けます。対して西山女流三冠はと金攻めを間に合わせ、二枚飛車で寄せ形に持ち込みました。

 最後は穴熊の金銀がすべて消え、西山女流三冠の龍が長谷部玉に迫る形となって、受けなしに。持ち時間3時間のうち、西山女流三冠は1時間以上を残しての完勝となりました。

 新人王戦初戦でもこれだけの勝ちっぷりを見せた西山女流三冠。奨励会三段リーグで昨期は次点。竜王戦6組はベスト4に進出。三段から四段に昇段し、初の女性棋士となってもなんら不思議のない実力の持ち主であることは、すでに明らかです。この先、新人王戦でも旋風を巻き起こせるでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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