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王位戦リーグ白組の天王山▲菅井竜也八段(27)-△藤井聡太七段(17)戦始まる

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月10日。王位戦リーグ白組▲菅井竜也八段(27歳)-△藤井聡太七段(17歳)戦が始まりました。

 菅井八段は岡山県、藤井七段は愛知県から大阪・関西将棋会館に移動しての対局です。こうした遠征をともなう地方在住棋士の対局は、コロナウイルス感染拡大の影響にともない、この先はしばらく延期と決まりました。

 9時42分。まず藤井七段が下座に着きます。

 9時44分。続いて菅井八段が上座にすわりました。

 両者ともにそろって盤の前に扇子を置いて、定刻を待ちます。

 10時、記録係が時間になったことを告げ、両者一礼。対局が開始されました。

 10時1分。先手の菅井八段は角筋を開きました。

 藤井七段はマスクを少しずらせ、お茶を口にしました。そしていつもの通り、飛車先の歩を伸ばします。

 過去の藤井戦で、先手番の時には中飛車が多かった菅井八段。本局では三間飛車を選びました。

 藤井七段は少しずつ時間を使いながら、駒組を進めます。そして玉形を左美濃に定めました。11時を過ぎた時点で26手まで進んでいます。

 持ち時間は各4時間。昼食休憩をはさんだ後、通例では夕方から夜に終局となります。

上村五段、1勝目をあげる

 昨日9日には▲阿部健治郎七段-△上村亘五段戦がおこなわれました。

 後手番の上村五段は横歩を取らせる作戦。最近の将棋界では横歩取りの後手番はやや旗色がわるく、採用率が低くなっていました。しかし昨日は他の対局でも横歩取りが見られたところを見ると、復活の兆しがあるのかもしれません。

 先手番の阿部七段は「青野流」と呼ばれる形に。この青野流が優秀なので、横歩取りが減ったとも言われています。

 飛角の大駒がすべて交換になる激しい展開から、阿部七段は桂2枚を中段に跳ね出します。青野流でよく見られる攻め筋です。

 阿部七段は香の両取りで盤面中央に角を打ちます。対して上村五段は阿部陣に打ち込んだ飛とのコンビネーションで、角を王手に打ち込みます。ここで形勢は上村五段に傾いたようです。

 最後は上村五段が阿部玉を即詰みに討ち取って終局。66手の短手数でした。

 リーグ成績はこれで上村五段1勝3敗、阿部七段0勝4敗となりました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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