Yahoo!ニュース

死闘267手! 持将棋引き分け! 同日指し直し開始! 永瀬拓矢二冠(27)-佐々木大地五段(24)戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 3月23日。東京・将棋会館において▲佐々木大地五段(24歳)-△永瀬拓矢叡王(27歳)戦がおこなわれています。10時に始まった対局は21時30分、267手で持将棋が成立。引き分けとなりました。

 指し直し局は22時に始まっています。

両者執念の引き分け

 本局は2連勝同士の対戦で、今期紅組の天王山となるかもしれない一局です。

 将棋の公式戦はほとんどの場合、朝10時に始まります。佐々木五段先手で、戦型は相掛かりとなりました。

 佐々木五段が陣形整備をはかろうとしたタイミングをとらえて永瀬二冠が動き、佐々木玉の上部で戦いが始まります。進んで永瀬二冠が佐々木玉を押さえる形を作ったところでは、永瀬二冠がややペースをつかんだようです。

 しかし佐々木五段はそこから容易に崩れません。玉は隅に追いやられ、守りの要の金をはがされ、受けには使いづらい3枚の大駒が玉の周辺に密集した形は、力がなければあっという間に崩壊していたことでしょう。

 その後は永瀬二冠が優位に立つ場面もあったようです。しかし佐々木五段が耐えしのいでいるうちに、いつしか形勢混沌。佐々木玉は中段まで逃げこし、相手陣まで入り込める形を作ったあたりでは逆転して佐々木よしとなりました。

 佐々木玉は永瀬陣で絶対につかまらない形となり、入玉が確定。あとはまだ自陣二段目にいる永瀬玉を寄せるか、あるいは駒をたくさん取れば勝ちとなります。

 これはもう永瀬二冠の勝ち目はないのではないか。多くの観戦者がそう思ったところから、今度は永瀬二冠の粘り強い指し回しが続きました。

 両者4時間の持ち時間はほとんど使い切り、記録係が秒を読む中で、延々と戦いは続きます。

 永瀬玉は厳重な包囲網を突破して、中段に逃げました。ついに佐々木陣にも到達します。駒の数も持将棋(引き分け)が成立する24点をギリギリキープ。両者が合意した上で、267手までで持将棋が成立しました。

 持将棋は規定により30分後、持将棋局と先後を入れ替え、同日指し直しとなります。指し直し局の

 朝10時の対局開始からちょうど半日後の22時。指し直し局が始まりました。持ち時間は永瀬二冠1時間、佐々木五段1時間5分です。

 永瀬二冠先手で、戦型は角換わりに。永瀬二冠が速攻を仕掛け、早いテンポで対局は進んでいます。

【追記】指し直し局は永瀬二冠の勝ちとなりました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

松本博文の最近の記事