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前王位の豊島将之竜王・名人(29)今期リーグ成績を3勝1敗としてリターンマッチに望みをつなぐ

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 3月23日。大阪・関西将棋会館でおこなわれた王位戦リーグ紅組▲豊島将之竜王・名人(29歳)-△鈴木大介九段(46歳)戦がおこなわれました。10時に始まった対局は16時31分に終局。結果は131手で豊島竜王・名人の勝ちとなりました。

 リーグ成績は、豊島竜王・名人は3勝1敗。挑戦権争いに踏みとどまりました。

 一方の鈴木九段は1勝3敗でリーグ陥落が決定しました。

 両者ともに対局の消化は早く、残すは最終5回戦だけとなりました。

豊島竜王・名人逆転勝ち

 豊島竜王・名人は前期七番勝負で木村一基九段(46歳)の挑戦を受け、3勝4敗で失冠となりました。今期はリターンマッチを目指しての戦いとなります。

 鈴木九段の四間飛車に対して、豊島竜王・名人は居飛車穴熊。中盤の戦いでは鈴木九段がペースをにぎったようにも見えました。

 盤上全体で戦火が上がる中、鈴木九段は穴熊の急所である端を攻めます。一見すると受けづらそうでもありますが、豊島竜王・名人が自陣の金を一つ寄せたのが粘り強い受け手でした。とはいえ、穴熊にこもっていた豊島玉を上部に追い立てたあたりでは、鈴木九段ペースの終盤戦でした。

 しかしその後、豊島陣を攻め続け、角を捨てて豊島玉に迫る形を作ったあたりで、

鈴木九段にはやや誤算があったようです。豊島玉は粘りがきき、速度で逆転して、先に鈴木玉が寄せられる形となりました。

 最後は鈴木九段がわかりやすく詰まされるところまで指して投了。総手数は131手。終了時刻は16時31分と、比較的早めでした。

もう一局は持将棋引き分け、指し直し

 東京・将棋会館でおこなわれている▲佐々木大地五段(24歳)-△永瀬拓矢叡王(27歳)の2連勝決戦は、本局とは対照的に夜遅くになっても終わりません。

 そして最終的には両者ともに相手陣に入り込んでつかまらなくなる相入玉に。そして引き分けとなる「持将棋」の条件を双方満たして、21時30分、267手で引き分けとなりました。

 30分の休憩後、22時から指し直し局がおこなわれます。

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将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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