藤井聡太七段(17)が達成するかもしれない「史上初の3年連続勝率8割超え」は途方もない大記録
藤井聡太七段が相変わらず勝ち続けています。2019年度の成績は現在47勝12敗(勝率0.797)。あともう1勝で8割復帰となります。
「あれ? 藤井君、いま8割ないの? もしかして不調?」
もしそう感じる人がいたとしたら、完全に感覚が破壊されていると診断せざるをえません。改めて過去の記録を眺めてみれば、年間8割勝つというのは、とんでもない好成績です。
例年、勝率8割を超えればランキング1位はほぼ間違いないところです。しかし2018年度、渡辺明現三冠と永瀬拓矢現二冠はちょうど勝率8割をマークしながら、さらに上位に藤井聡太七段がいたという不運?がありました。
そうした例も含め、将棋界できちんとした成績統計が取られはじめて以来、棋士が年間で8割以上勝ったという例は二十回もありません。
生涯で一度でも達成できれば大変な名誉であるところ、2回以上達成した棋士は、過去に3人います。(冒頭の表もご参照ください)
1人目は中原誠16世名人です。フルシーズン参戦後の2年目、1967年度にマークした勝率0.855は、現在も最高記録として輝いています。
2人目は羽生善治九段です。デビュー以来4年連続で勝率1位。その2年目、3年目が勝率8割超えでした。
また奇跡の七冠同時制覇を達成した1995年度にも8割超えを達成。過去の高勝率記録の多くは低段の若年者が上位を占めている中で、こちらも異例の大記録と言えるでしょう。
羽生九段は通算でも史上最多の「将棋大賞・勝率一位賞」7回を記録しています。(この記事の最後の表を参照)
3人目は藤井聡太七段です。その勝ちっぷりは、皆さますでにご承知のことでしょう。デビュー以来無敗で29連勝は今でも信じられないような大記録です。そして今年度は史上初の3年連続8割超の大記録がかかっています。
残り2週間。あと1勝すれば8割に復帰し、そのあとを負けなければ8割キープでゴールとなります。20日には王位戦リーグで上村亘五段と対戦します。
※1983年度の田中寅彦七段(現九段)の勝率に関して。日本将棋連盟の公式記録では長い間「0.688」と表記されています。筆者が当時の成績、および諸文献を調査した限りでは「0.698」(44勝19敗)と記録されています。本稿ではそちらを採用しました。勝率一位賞で7割を超えなかったのは、これがただ1度の例です。