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B級2組最終11回戦 昇級争いを制するのは横山泰明七段(39)か、それとも近藤誠也六段(23)か

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 3月11日。東西の将棋会館に分かれてB級2組最終戦11回戦がおこなわれます。

 B級1組に昇級できるのは成績上位2人。そのうち1人はすでに丸山忠久九段(49歳)に決まっています。

 もう1人は横山泰明七段(39歳)と近藤誠也六段(23歳)のいずれかにしぼられました。

 現在の成績上位陣を含む対戦は以下の通りです。

▲丸山忠久九段(8勝1敗)-△中村 修九段(4勝5敗)

 丸山九段は今期順位戦で、全クラスを通じて最初に昇級を決めました。

 丸山九段は最終戦で勝てば1位昇級が決まります。また現在は藤井聡太七段に次ぐ高勝率もキープできます。

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 丸山九段の対戦相手である中村修九段は、前期に降級点を取っています。降級点を2つ取ってしまうと、C級1組に降級となります。もし今期5勝5敗の指し分けとし、来期も指し分け以上ならば、その1つ目の降級点を消すことができます。

▲横山泰明七段(7勝2敗)-△北浜健介八段(3勝6敗)

▲近藤誠也六段(7勝2敗)-△中田宏樹八段(6勝3敗)

 前期成績を反映した「順位」は横山七段が3位、近藤六段が21位のため、横山七段が上位。そのため8勝2敗で並んだ場合には、横山七段が昇級となります。両者は9回戦で直接対決し、横山七段が劇的な勝利を収めました。その星が大きくものをいって、横山七段が自力で

最終戦を迎えています。

 横山七段の対戦相手である北浜八段は、下位5人に入ってしまうと降級点となります。昇級と降級点回避争いがからんだ、順位戦らしい大一番と言えるでしょう。

 近藤六段は自身が勝って横山七段が敗れた場合のみ、昇級となります。対戦相手は中田宏樹八段。中田八段は桜井昇八段門下で、横山七段の兄弟子にあたります。

 6勝3敗勢最上位の村山慈明七段も桜井門下です。順位は4位のため、順位わずか1枚の差で、横山七段を抜くことはできず、すでに昇級の可能性がありません。

 なお6勝3敗の戸辺誠七段と鈴木大介九段は、勝ち越しが決定。規定により、過去に取った降級点1が消えます。

 B級2組順位戦の持ち時間は各6時間(チェスクロック使用)。対局は朝10時に始まり、通例では夜遅くに決着がつきます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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